最近読んだシリーズ本。
社内にクリニック課が新設されて、医師と薬剤師が常駐するという、ある意味羨ましい会社が舞台。
個々のエピソードも面白いが、「ん?」と思ったのは、1巻ラストのエピソード。
課内の医療事務・松久奏己(このシリーズの主人公)がぎっくり腰になる。
全く動けなくなった彼女に、医師・森先生がアレコレ処置を施し、家に送り届ける。
奏己の家まで行ってリハビリも行う。
それはいい。そういう会社だというのも分かっているし、森先生からすれば奏己はたった一人の部下だ。
でも、彼女に処方された薬の名前を見て、「え?」と思った。
フェキソフェナジン塩酸塩?
え、あれってアレルギーのお薬では?耳鼻科で何度か処方されたぞ…。
驚いたことに、これが効果てきめんで奏己の腰の痛みはウソのように引いていく。
おそらく、作者のミスなのだろうな。悲しいことに、これでこの巻は終わってしまう。
第2巻の冒頭のエピソードでこれがミスだったことで、森先生が絶不調に陥ってしまうというエピソードが誕生することになる。
森先生が”処方ミス”に気づくのは、奏己が「念のため、お守りも兼ねて持っておきたい」と再処方を願ってからだった。
薬剤師の真田さんに「これ、抗アレルギー剤だよ?」と指摘されても自分が処方ミスされていたとは疑わない奏己。
というか、森先生の処方箋を処理して薬を揃えたのは貴方じゃないのか、真田さん。
いくらでもツッコミどころがある2つのエピソードだった。
著者のミスだったとして、挽回が次の巻というのも凄いな。
もし、次の巻が刊行されなかったら、ミスのままということになる…。
そのときは最初に処方された薬を正しいものに置き換えるとか、措置が取られたのかな?
いや、そこまでするかな?
何人かの小説家さんのXアカウントをフォローしていて、「売れなかったら次はない」とか見ていると、2巻目が刊行されて良かったねと思う。
もし、著者の意図した”処方ミス”だったのなら、悶々としたものを抱えたまま第2巻を待った人もいたってことだよね?
それはそれでちょいと怖いかも。もし、信じ込んで整形外科に「フェキソフェナジン塩酸塩」を求める人がいたら?かなり怖いぞ…。
意図した”ミス”ならせめて同じ巻の次のエピソードで解決させなきゃ…と思ってしまう出来事だった。