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無知とは恐ろしいもので...

2012年07月15日 | Supro Supreme Amp
林クラフトさんから、アンプの診断結果と概算見積りの連絡がありました。

まずは、アンプ到着からピッタリ2週間後のご回答。
「見積もりはアンプ到着後。2週間くらい」とおっしゃってましたので、

というアティテュードを、ビジネスマンの端くれとして評価させていただきます。

 

故障の症状をも一度まとめると、

*******

来日翌々日、昇圧トランスかましての部屋弾き小音量で点火約 30 分後、
ボンっ』っていうあまり大きくない爆発音を残し、音がでなくなる。
電源OFF
翌朝、電源ON(通常やってはいけないことらしい)
爆発前と同じレベルの音が出ている。

*******

 

以下、林さんからのご回答 :
※現在では、大変貴重な診断結果報告ですので、全文を掲載させていただきます。(2015/9/6)

■症状について
音は出ています。お話に有ったような症状は確認できていません。
このようなケースは、古いアンプを何年も電源を入れないで保管した後には、時々ありますので珍しい事ではありません。
おそらく、音が出なくなった時は一過性の何かが有ったと思いますが、今となっては確認できません。
ステップアップトランスを使ったので劣化した電 解コンデンサが一時的にショートしたか、
真空管とソケットの接触不良だったか、そのような事が考えられます。
現在では、見る限り正常に動作しています。
もちろん老化しているので、それなりの性能ですが、年齢の割りには全体にきれいだし、
錆も無いので保存状態が良かったのだと思います。
また、正常に動作していると言っても、なにしろ古いアンプなので、これから故障が発生する確率は高いと思います。

■コンデンサの液漏れについて
これは液漏れではありません。ご指摘のコンデンサは、オイルコンデンサです。
電解コンデンサは、シャシに立ててあるアルミ筒の2個と、シャシ内にある紙筒の1個です。
このアンプの時代のオイルコンデンサは、表面に蝋(パラフィン)を塗ってあります。
この蝋が経年変化と熱により何度も溶けて固まるのを繰り返し て、今の何か汚れたような形になっています。
トランスに付着しているのは、トランス製造過程で着くニスです。
このように、コンデンサの液漏れはありません。
しかし、電解コンデンサは、経年劣化でドライアップして性能は悪くなっています。
この電解コンデンサが劣化していて、ステップアップトランス使用による電圧の上昇に耐えられずにショートした可能性があります。
また、このような 場合、コンデンサが自己回復することもあります。
これが今回の故障の原因であったかもしれません。
オイルコンデンサも同様に劣化しています。これは使用箇所によっては安全上の配慮が必要です。

■修理の方針
電解コンデンサを全部交換します。
オイルコンデンサを、全部フィルムコンデンサに変更します。
オイルコンデンサは音が良いとか言われていますが、実は古くなると絶縁不良になりやすく、
これが原因で出力管が過熱するという事故が多いです。
そのために当店ではオイルコンデンサはフィルムコンデンサへ交換しています。
他の部分については、急いで交換する必要はないかと思います。
アンプ全体としては保存状態は良いです。
ジャックについても、古いのですが、この時代のものはタフで、多少すり減っても丁寧にクリーニングすれば使えます。
赤錆でも出ない限り交換の必要はないと思います。

■その他の注意
このアンプで一番大事なのはスピーカーです。
このスピーカーは永久磁石を使っていない、電磁石による磁場を形成して動作するスピーカーです。
普通のスピーカーであればアルニコ磁石が有る場所 に、電磁石のコイルが入っています。
もしこのコイルが切れると、このスピーカーは終わりです。
アンプ動作中にスピーカーのヨークを触ると分かりますが、かなり熱くなります。
計算では 6W以上の発熱をしています。
新品であればまあ長持ちもするのでしょうが、これだけの年齢になると、このコイルの寿命はまったく分かりません。
また、アンプの電源は、このスピーカーのコイルを通して供給されるので、コイルに通電しないとアンプの動作試験もできません。
結論として大事に使うしかありません。
ステップアップトランスを使わないで、このアンプをAC100Vで使用すれば、このリスクは減少します。
実は、今回の故障の原因として一番始めに疑ったのが、このスピーカーでした。
検査の結果、現在は無事に働いているようです。

■スピーカーの保証について
このような訳で、このスピーカーについては修理の過程においても、修理の結果においても、一切保証することができません。
本件につき、これから、修理をするにあたり、事前にご了承いただきたいと思います。

 

以上、電解コンデンサとオイルコンデンサの見分けすらできないトーシロでも解るように、丁寧かつ簡潔なご説明と、今後安全に使い続けるアドバイス等をいただきました。
これだけでもいい勉強になりやした。

てことで、リアルなほうのオーバーホールをやらずに済みそう。

 

プロが認める状態の良さを保っていた出品者に対し、
「クソっ!あの世逝き寸前のブツ掴ませやがっったな!?」
などと、お門違いの疑念を向けるとこやった(大汗

ほんま無知とは、恥ずかしく、かつ、恐ろしいもの。
ほんまに申し訳ない!!

 

出品者様が撮られた写真を掲載して、本稿終了といたします。

 

          

 

 

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