えんじゃけん

「殺人者」その1~内容について

「殺人者」って演劇を見てきましたが、
よく意味がわからなかったんですよね・・・。
なんかすっきりしないなぁと、いろいろ考えてみたんですけど・・・
とりあえず考えたことを。

大抵、どの物語でも結末に重要な言葉がくるものだと思います。
そこから考えました。
最後の台詞が「やっと冬が来た」って台詞なんですよね。
・・・もし、これを人間関係と例えてるとしたら、めちゃめちゃ
ベタな気がするんですけど、いいんでしょうか、こんな解釈で。
芝居の途中で、「(冬なのに)生ぬるい気持ち悪い風」といった
台詞が何度も出てきます。
それはつまり、生ぬるい人間関係から最後、やっと抜けることが
できたってことなのかなぁと。

あと、お父さんの台詞で、「家族だから血がつながっているから
といっても人は誰もがひとりなんだ。
それに気づかなければならない。」
みたいな台詞があるんですよね。
・・・これらから単純に思うのは、生ぬるい人間関係を続けても、
孤独から逃れることはできない。まずは、自分が孤独な存在であると
いうことを受け入れてこそ、自分の足で立てる人間になれるってこと
なのかなぁ・・・って。

自分にうそをつくのは苦しい。
誰にもばれなくても苦しいものである。
それは、自分がうそだと知っているからであると思う。
なぜなら、自分はいつも自分を絶えず見ているから。
それを白い仮面のおじさんに例えたり、どこまでもついてくる月に
例えたり、顔に見える天井のシミに例えたりしているのかなぁって。

また、あって当たり前と思っている関係・・・家族を、
月に例えてるのかなぁと思えたりもしました。
「いつかはさよならしなければならないと分かっているのに」
っていう台詞があったので。

家族だろうが、血がつながってろうが、
それにとらわれることはないんですよね。
そのために、自分に嘘をついて苦しむ必要なんてない。
自分にうそをつかなければ保てない関係なら、それはいい関係とはいえない。
嘘をつかなくてもいい関係。
それが、孤独を受け入れるということでもあると思う。
孤独を受け入れたなら、何かにしがみつく必要はない。
もともと一人だと思えば、怖いものはない。
しかし、そこまで思い切るには勇気がいる。
でも、そう思えるようになってこそ、自分の心地よい本当の人間関係が
築けるのであろう。

父親が母親の浮気に気づきながらも気づかないふりをするんだけど。
これは自分に嘘をついているわけではないんですよね。
気づかないふりして母親にしがみついていようとしているわけではない。
一見、嘘をついているようだけど、心構えでそうでないと分かる。
父親は孤独を受け入れろといった後に、母親を一生愛していきたいという。
父親は多分、母親がほかの男とどこかに行っても引き止めたり、
騒いだりしなかったかもしれないと思う。
それは、母親を愛したいという心があるから。
愛する人が望むことを否定した時点で、その人を愛しているとは
言えないと思うんですよね。
それって自分のエゴに相手をはめようとしていることでしょ?
相手を自分の意のままに(自分の想いの犠牲に)したいっていうのは、
それは、本当の人間関係とはいえない。
まずは自分の足で立ってみよう、孤独を受け入れてみよう。
孤独からはじめれば、何も失うものはないのだから。
何かに嘘をついてまでしがみつく必要もなくなる。
孤独から逃れようとする苦しみは、孤独を受け入れる苦しみよりも
長い目で見れば実は何倍も苦しいもの・・・。

と、この感想を書きつつ、かなり耳が痛い。(目が痛い?!)
孤独を受け入れるって実はすごく大変なんですよね。
孤独から逃れるために自分に嘘をつくほうがその場は楽でも
後々、すごく苦痛になるっていうのに・・・
それでも嘘をついてでも、その場の孤独を避けようとしてしまう。
そんな人は多いのではないだろうか。

そんなことを考えました。
おもいっきり解釈がずれてるかもしれないけど。
この芝居をみながら、松さんの「みんなひとり」がやけに聞きたくなった
私でした。


■「殺人者」

【日程】 2007.2/19(月)~3/11(日)
【会場】 東京グローブ座

【出演】
三宅 健
石田ひかり
MEGUMI
中山 祐一朗
野中 隆光
日比 大介
黒田 大輔
赤堀 雅秋
みのすけ
松本 紀保
大谷直子
秋野 太作

【作・演出】
赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)

【ものがたり】
千葉県郊外のごく平凡な住宅街で鮮魚店を営む松田家。長男が9年前に失踪したため、次男の勝(三宅)が家業を手伝っている。妹の真理(MEGUMI)は、大学をやめて長く家に引きこもっている。問題を抱えながらも、なんとか均衡を保っていた松田家の凡庸な日々が、近所で起こった殺人事件をきっかけに崩れ落ちていく・・・・。
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