前回書きましたように、
創作活動のためブログは仮眠状態にしていたんですが・・・。
若い写真家や写真家を目指す皆さんから、
恐ろしいほどの質問や問い合わせが来ました・・・笑
答える時間がないので目だけ通していますが、
その熱い情熱には感動しました!
中には以前の僕と同じで、
「・・・写真家協会」に失望して独学で頑張っている方も多いと分かりました。
あと大学の写真学科に在学中の学生からは、
今勉強している事が卒業後に実践で役立つかどうか不安です。
あまりにもフイルム時代の事を学ぶのに時間をかけ過ぎな気がします。
「Retina Photo」にはとても興味があるんですが、
漠然としていてどうしていけば良いのか分かりません・・・。
などなど・・・数えたらきりがないほど・・・
一週間で200通以上質問&問い合わせのメールが来ました。
またそれとは逆に、あいかわらず誹謗中傷のコメントも来ております・・・笑
そもそも一般的な事を書くならブログは良いですが、
専門的な知識や特定の方を相手に書くなら、
Facebookの方が適しています。
だいたい匿名で質問や問い合わせをしてくる事が失礼です。
こちらは名乗っているんですから、
自分もどこの誰かくらい名乗るべきでしょう。
Facebookではそういうマナーの悪い者はいません。
記名式ですから当然と言えば当然です。
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さて今日ここで書く事は、
上で書いたような情熱ある将来写真家になる予定の皆さん、
若者はもちろん、高齢者であろうと、
写真家を目指し、世界を目指す方に向けて、
僕の率直な考え方を書いておきます。
よって関係ない方、興味のない方は読まないでください!!!
そういう方が読んでも理解できないでしょうし、
「偉そうに書いてる!」そう思われるだけでしょうから・・・。
この点予めお断りしておきます!
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ではまず早速ですが、世界に出るためにもっとも大切な事の一つは、
「新しい事に目を向ける!」
これが重要だと思います。
たとえば簡単な事ですが、
僕の写真論は読みたいけど、Facebookはまだちょっと・・・。
こういう中高年の方多いです。
これでは世界に挑戦するのはまず無理だと思います。
Facebookは世界中で8億人が登録しているそうです。
その中に貴方が入らないのはなぜでしょうか?
世界の企業はどんどんFacebookに参加しています。
そういう貴方が世界の一流企業の仕事が出来ますか?
・・・そういうことなんです。
ただ写真だけ撮っている時代は過去です。
趣味ならそれでOKです、もちろん。
しかし今回の話はそういう方を対象に書いてはいません!
そこを間違わないで下さい。
あくまでもこれから写真家として世界に挑戦する方が対象です。
ちなみにアップル社のフォト・プロデューサーは本社だけでも数名います。
毎日相当数の世界中の写真を見ています。
その数おそらく数千枚でしょう。
例えば彼ら彼女らが、合わせて1日3千~5千枚の世界の写真を閲覧しているとして、
1か月で約8万~10万枚。1年間で100万枚以上です。
ようするに言い換えれば、
アップル社に選ばれるためには、
世界の写真家100万人の中から選ばれるようなもんです。
常に世界のTopを意識して作品創りをしないと、
運だけで選ばれるのは難しいです。
要は写真を撮るだけではなく、
常に世界の情報にアンテナを張る必要があります。
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ところで「Retina Photo」についてですが、
これも全く同じで、カメラや現像ソフトの進化・発展に、
常にアンテナを張っている必要があります。
そもそも100%完璧な「Retina Photo」などありえません。
ちなみに僕が思い描く理想の「Retina Photo」は、
撮影現場で100%完成する作品です。
そうなれば「現像加工」は必要なくなります。
これが理想でありそうなるべきです。
いずれ将来はそれも可能になるでしょう・・・。
しかしまだまだ先の事です。
残念ながら現時点では、現場でせっかくデジタル撮影したのに、
後で記憶という「アナログ」をたよりに現像加工する必要があります。
しかしそれでもそうしなければいけないのは、
現像加工しないカメラの眼で撮影した画像はとても不自然だからです。
よって未来に夢を残しながら、
今できる最良の方法を考え、将来改良できるRAWデータ作りが大切だと思います。
特に発想が大切で、
今している事はベターであり、ベストではない!
明日になればカメラも現像ソフトも進化して、
もっと素晴らしい作品になるかもしれない・・・。
いつもそう考えて創作しています。
またフィルム時代の写真家が、一番陥りやすいのが次の点、すなわち、
★撮影後一切手を加えないのが最高!
これはフィルム至上主義、カメラの眼を人間の目より高い次元に置く発想です。
その点デジタルしか知らない若者の方が素直です。
「カメラの眼で撮影された色は不自然である」
こう考えるのが自然でしょう。
実は教える僕にしても、フィルム経験のあるハイアマチュアの皆さんは面倒です。
いち々その違い、特に発想の違いを教えなくてはならず、
また頭の中がフィルム・モードになっており、
それを切り替えるのに相当無駄な時間が必要だからです。
実は写真を教える側も同じです。
かつて数年前に僕は大学の写真学科に通った事があります。
そこで知った事は、デジタルの知識や技術ではなく、
教える教授陣が「生きた化石」のような人達であった事です。
僕が普通に学んでいて生じる疑問が、彼らにはない!
また訊いても答えられない!!
最悪なのは、
フィルム時代からそうやってきたんだから・・・それが正しい!!!
そういう科学的根拠ではなく経験に基づく結論で語る事。
これでは世界に通じるどころか・・・日本でも通じないでしょう。
デジタル創世記のこの10年間、
大学教育でも現場が混乱しているのがよくわかりました。
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・・・しかし、
言い換えれば、だからこそ今がチャンスです!
まさに下克上の時代なんです。
大学教授に教わる必要なんかないんです。
写真が絵画や他の芸術分野と趣が違うのは、
本人の撮影や現像技術のレベルとは別に、
カメラや現像ソフトの進化、パソコンの進化に大きく影響される点です。
よって常に最先端を学ぶべきであり、
またそうでなければすぐに遅れてしまいます。
まさにオリンピックと一緒です。
技術はもちろん、道具も最先端のものを使いこなせてこそ、
一流のプロフェッショナルなんです。
それが出来なくなった時、僕なら引退します。
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では次に現在僕が使っている道具についてお話します。
これについての質問は特に多かったです。
もちろん道具はお金がかかります。
僕も最初から全てが揃っていたわけではありません。
徐々に揃えていけば良いと思います。
まず写真家にとって最も大切な道具、
もちろんカメラやレンズは大切ですが、
今売っているそれらの道具は既にあるレベルに到達しています。
言い換えれば、
最新のカメラやレンズを使う限り、
性能はほぼ満足出来るレベルにある。
そう考えて良いでしょう。
それより問題なのはモニターだと思います。
自分が撮影したデータの色はモニターを見ることでわかります。
というより、モニターでしか見ることが出来ません!
★よって現代の写真家にとって一番大切な道具はモニターです。
そのモニターはピンかキリしかなく、中途半端な物を買うなら、
少々お金を貯めて、最高のモニターを買った方が絶対に良いです。
実は最初そこそこの色を出していても、経時変化で大きく変わり易いのです。
しかもただ単に価格の高いモニターを買ってもダメです。
定期的に(最低毎月一度)色調整が必要です。
よってその道具「カラーマネジメント・ツール」もいります。
さらに、モニターは使うパネルの種類でも違いますし、
また写真家にとっては大きく分けて、
外部ソフトウエアで色調整するタイプと、
モニター内部に色調整のシステムが最初から組み込まれているタイプ、
二つに分かれます。
ソフトウエアで調整するタイプは、
貴方がお使いのパソコン本体のグラフィックボードの影響を受けます。
よって「Retina Photo」を目指すなら、
買うべきモニターは後者しか選択の余地はありません。
このタイプは「ハードウエア・キャリブレーション・モニター」などと呼ばれ、
経時変化での色の違いを検証しましたら差は歴然としています。
またノートで写真現像に使えるのは、現在Macだけでしょう。
以前も書きましたが、
日本のメーカーはWindowsを使うノートは事務用とでも考えているのか?
全く写真現像には向きません!
それから将来的にはモニターは2台必要です。
僕は現像時にはこのように2台で相対比較しながら使っています。
これは人間の眼の特性に関係しています。
ようするに、我々の眼は、
一つの画像を見続けていますと、それに眼がなじんでしまい、
正しい判断がし辛くなるのです。
ようするに眼は絶対評価には向かず、
複数画像を比較する相対評価に向いているのです。
よって左右で比較してやっと分かるような、
「青い池」の微妙な青さの違いなど、相対比較しなければ眼での調整は無理です。
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ところで今現在、
カメラと人間の眼を比較して、大きく違う点はまず二つ。
カメラの眼はあるシーン撮影時に露出もホワイトバランスも1点しか決められません。
要するに一つの露出、色温度です。
それに対して人間の眼はもっと自在です。
いうなれば一場面に対して多点露出・色温度です。
次の写真をご覧ください。
私の宿で2階の景色の良いサロンから、カボチャ作りを眺めている場面です。
この場合、カメラの眼を陽のあたる木の床が露出オーバーにならないように設定すると、
当然ですが手前の二つの椅子は相当暗くなります。
しかし実際人の眼ではもっと明るく普通に見えています。
以前はこの暗い部分を後から現像で明るくしていました。
しかしそれですと画質の劣化は避けられず、
大きなパネルにするような写真には使えませんでした。
ところが今はHDRという技術のおかげで、
画像をほとんど劣化させずに、自然な雰囲気と色の写真に出来るようになりました。
実はHDRは「Retina Photo」の親友です。
カメラの眼が一場面一露出でしか撮れない以上とても有効な技術です。
ただしフォトコンテストによっては、認められない場合もあります。
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ところで実は僕が良く使うのは「カラーメーター」です。
今現在は「プロデジカラー C-500」を使っています。
10万円以上する高価な道具ですが、僕には絶対に必要なものです。
ちなみに「露出計」はここ1年、一度も使った事がありません。
しかし「カラーメーター」は無いと不安になります。
この意味が分かるようなら貴方は相当なレベルの方だと思います。
・・・しかし世界の一流写真家達にとっては全く普通の事ですが・・・。
尚、現在日本では二つの会社でカラーメーターを発売しています。
しかしデジタルカメラ用に新しく開発された上記を強くお勧めします。
もう一社のは古い設計で、フィルムカメラ向きです。
一番の違いは何か?
それは色温度を測る際のR.G.Bのセンサーの違いです。
そもそもフィルムと撮像素子では光に対する特性が違います。
よってデジタルカメラ用の別センサーが備わる上記を勧めます。
その昔カラーメーターはフィルムで色を変えるために、
レンズに装着するカラーフィルターを決めるために使っていました。
私の意見としては、デジタルカメラ専用の機種を発売して欲しいです。
それほど重要な道具だからです。
ただいずれにしましても相当高い商品です。
使い方がわからなければ「猫に小判」になってしまいます。
一度きちんと正しい使い方を学んで下さい!
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それではカラーメーターを使って創作した写真をお見せします。
まず上で書きましたように、カメラの眼はワンシーンに対して一つの色温度です。
次をご覧ください。
只今おかげさまで良く売れている「青い池と初雪」の額装写真と、
隣に立っているのは私ですが・・・笑。
写真の上からは電球の光、私の背後からは自然光というカクテル光線状態です。
普通にカメラの眼で撮りますとこのような写真になりました。
この写真では、写真と私に当たる光の色温度が違う事、
それから露出の違いもあり、
このままでは青い池の色も僕が被っている帽子の色も不自然です。
20分ほど現像しまして、完全ではありませんが「Retina Photo」にしました。
この場合自分が被っている帽子の色と、青い池の青色がポイントになります。
なぜならどちらも実際の色を確認出来ますので、より正確な「Retina Photo」に出来ます。
こういう身近で実際の色を確認できる被写体で練習すれば、
「Retina Photo」は創作しやすくなります。
ただこの場合、現像時に勘や経験で色をいじる方が多いのですが、
上記で紹介した色温度計(カラーメーター)を撮影時に上手に使用すると、
より速く正確に後で色合わせが出来ます。
ただし素人の皆さんが使いこなすのはかなり難しいです。
きちんと教わるのが近道でしょう。
また色温度についてですが、
色に温度があるのかと勘違いされている方がいますので、
少々書いておきます。
理想的に熱を完全に放射する物体(黒体)があるとして、
これに熱を加え温度を上昇させると、黒体放射として光が放射されます。
その光の色は温度上昇によって、赤から黄色そして最後は白へと変化します。
鉄を熱するとまず赤くなるのがそうです・・・。
よって簡単に言いますと、
色温度(いろおんど)というのは、色の温度ではなく、
物体(黒体)のある温度から出る「光の色」を示すものです。
その単位は高校の化学で習った絶対温度の単位でケルビン=Kを用います。
例えば2800Kと書いて、2800ケルビンと読みます。
また色温度の特徴として低い温度ではその差による色変化はとても大きくなります。
例えば2500Kと3000Kでは色は大きく違います。
しかし8500Kと9000Kではその差は僅かです。
よって電球光(3000K前後)の下で撮影した、
上の写真では色温度の変化は100Kや200Kでも大きく、
カラーメータで撮影前に、数か所測っておき、記録しておくことが大切です。
その結果を現像時に活かすことで、速く確実に色を決める助けになります。
このように簡単に「Retina Photo」といっても、
実際に作品にするのはなかなか大変です。
しかしだからこそ世界の企業も注目するのであって、
繊細さを要求される日本人の得意な分野でもあると思います。
また最後になりましたが、
今まで自分がこうやって研究できたのは、
色々な人達の協力があってこそです。
例えばあるカメラメーカーの技術者は、
私の質問にいつも率直に答えて下さり、
時にはマル秘事項でも教えて下さいました。
まさにF1ドライバーとメカニックのような関係でした。
他にも物理的・精神的に多くの方の援助を頂きました。
それがなければここまで来れなかったと思います。
改めまして深く感謝申し上げます。
今後は今まで以上に精進し、
写真技術のみならず、世界の人とのコミュニケーションを大切にし、
昨年より落ち込んだ訪日外国人の数を増やせるよう微力ながら頑張るつもりです。
日本中の才能ある風景写真家が、
世界の企業でどんどん採用されるようになれば、
きっともっと多くの外国人が観光に来るはず!
そんな期待と希望を持ってこれから励みます。
またこの先写真家を目指す皆さんも、
ぜひ大きな夢を持って頑張られてください。
皆さんの情熱に期待しています!
「Kent Shiraishi Photography」
追伸:
早速質問が来ましたが、
一つ々に答える事は出来ませんのでお許しを!
ただご自分のモニターで見て上記添付写真の差が良く分からないとか、
解説されているように見えません!といった意見がありましたが・・・。
はっきり言いまして、お使いのモニターの質の問題が大きいです!
くどいようですが、モニターはピンかキリしかないです。
自分が今使っている事務用のモニターで見ますと、
現像する事が無意味なくらい、最初から色再生はもちろん、
輝度さえまともに調整できません。
実は輝度の調整がきちんと出来るモニターは意外と少ないのです。
たとえ調整出来るようになっていても、
一週間も使うと狂ってしまうような粗悪なモニターも多いです。
こればかりは良いモニターを使った事がない方に話しても書いても、
正直に言いまして伝わらないと思います・・・残念ですが。
★「モニターの差はカメラの違いより遥かに大きい!」
この事に気がつかないと、「Retina Photo」は創作できません。
また世界の一流企業のフォト・プロデューサー達は、
当然ながらそれなりのモニターを色調整して使っているはずです。
いまや昔と違い、ネットで送信した画像をすぐに見てもらえるわけですが、
大切な事は、『お互いのモニターでほぼ同じ色に見えていなければいけない!』
もしそうでなければレベルの高い仕事など到底出来ませんし、
第一画像についてのコミュニケーションがとれません!
ここまで書けばお分かりだと思いますが、
質の高いモニターを正しく色調整して使用する事は、
「一流プロフェッショナルの無言の約束事なんです。」
お互いにほぼ同じ色を見ている環境がなければ、
離れた場所にいる者同士で、
ハイレベルな仕事を一緒にするのは不可能です。
相手は世界の企業でそれなりのデジタル環境を整えている訳ですから、
我々も当然それに近い環境を整備していく必要があります。
向こうとこっちで見ている色が違う、
そんなことになっては絶対ダメなんです。
ここまで読まれた皆様なら、
僕の言いたい事が少しは伝わったと思っています。
また近いうちに続きを書く予定です。
今回はこの辺で失礼します。
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