4月の後半に久しぶりに東京に出かけますが、イベントや写真講評会等行う以外に、楽しみにしている事があります。
それこそ30年前東京に住んでいた頃、
時々通っていた高級なBARが原宿にありました。
そこは当時東京に住んでいた一流のアーティスト達の溜まり場でもありました。
作家、デザイナー、映画監督、イラストレーター、写真家等、思い出すだけでも凄い人達がたくさん通っていて、そこに行くと誰かに会えたのです。そして若い僕は彼らの会話に耳を傾け、いつも色々な話に興味を持ち学ぶ事が出来ました。今思えばその当時から、僕はArtistを意識していたのかもしれません。当時の素晴らしい人達との出会いが、現在の僕を創造しているのは間違いない事実です。
そして当然ですが、この店はBARとしても当時日本の最高レベルで、マスターは僕の憧れでした。
彼はその頃40代半ばくらいだったと思います。
しかしいつのまにかその店が無くなり思い出だけが残っていました。正直な話、マスターも亡くなられたかもしれない。そんなふうに思っていました。
…しかし、人生は不思議です。
彼が元気に生きていて、別な場所で新しい店(BAR)を開いている事が最近分かりました。
しかも偶然僕に教えて下さった方もその店の常連でした。
今回僕はその店の開店時間に合わせて伺う事になりました。
神様はある日ある時粋な演出してくれるんですよね!
だから人生は楽しい‼
彼の店では本当に素敵な人達と多数知り合いました。
そして時には緊張した出会いもあり、甘酸っぱい思い出もあったのです。
以前書いたブログ記事から…抜粋
*****
Phantom Lady 「幻の女」
僕が20代の中頃、
行きつけのBarが東京・原宿にありました。
もっとも高級な店で、
若造がおいそれと入れるようなところではなく、
せいぜい月に一、二度顔を出していただけ・・・。
それでもその店に行くときには、きどって精一杯カッコつけていた。
いつだったか・・・
たしか今日のような雨降りで寒かった日、その店に入った。
いつものように混み合っていた。
僕が常に座るマスターの前の席は、
あいにく見知らぬ顔の男が座っていた。
通された席はL字型カウンターの一番奥から一つ手前で、
静かな席だがマスターと話は出来ない。
決まって最初に頼む酒は「ストラスコノン」。
4種の12年物シングルモルトを、
バッティングしたスコッチだが、
こいつをストレートで舐めながら、本を読むことにした。
当時は和洋にかかわらず、
ミステリーと名のつく本は殆ど読破して、
評論家になれるほど詳しかったと自惚れていた。
その日はディック・フランシスのプルーフ「証拠」を読み、
途中トイレに立って戻って来た時のことである。
真っ赤なドレスに身を包んだ、
素晴らしい美女が、僕の隣の席に座っていた。
思わず眼を疑った。
でも少し冷静に考えると、
その席しか空いていなかった・・・そういうことか。
普通なら失礼しますと言って隣に座るだけだが、
これほどの美女の隣となると、どうも落ち着かない。
まして女性の横に座るだけで鼻血の出る年頃である。
多分誰かと待ち合わせだろう・・・そうも考え、
いつもならゆっくり飲まなければいけない、
バーボンのオールドグランダット114(57度もある)。
こいつを一気飲みして、「お会計お願いします!」
そう言うとマスターが、「えっもう帰るんですか?」
「飲ませたい酒があるから・・・もう少しいなさい・・・」そう言われた。
・・・う~ん言葉に詰まっていると、
「もしどなたかとお待ち合わせなら、私はこれで・・・。」
彼女が喋った!それがまた何とも美しい声だ!
「いえいえ彼には連れなんていませんから・・・。」
なんだよマスター、たしかにそうだけど、
もう少し言い方ってもんがあるだろうに・・・。
「さあ座ってもう一杯どうぞ。」
いつもならそう言われて、漫才の掛け合いのように、
「お隣の美人を肴に美味い酒をいただきますか!・・・」
とかなんとか軽口たたくところだが・・・。
この時初めて分かった。
中途半端な美人風味の女にはそう言えるが、
本物の極上宝石のような美女相手では、
そういう事は言えない。
少し大人になった自分がいた。
結局その後1時間ほど彼女と同じ空気を吸った。
何か話しかけられたはずなんだが殆ど覚えていない。
記憶力が良いと自負していたが、その日で封印した。
覚えているのは品の良い香水のほのかな香り。
けして強くない。
また普段はロンドンに住んでいて、
後一ヶ月だけ東京にいることと、
その間にもう一度ここに来たいと言った事。
それだけ・・・。
もちろん次の日から毎日僕はその店に通った。
一ヶ月毎日。
でも彼女は来なかった。
珠玉のミステリーで、ウィリアム・アイリッシュの
「Phantom Lady 幻の女」。
主人公はBarで赤い帽子の女と出会う。
その後訳あって捜すが会えない。
まさに彼女は僕にとって幻の女。
甘酸っぱい思い出深い経験と、
友人3人から多大な飲み代を借りるという、
厳しい現実だけが残った。
その後大人になってLondonに行くたびに、
必ずBarに立ち寄る。
そして・・・赤いドレスの女性を見つけると、
思わず胸がキュンとなる。
恥ずかしい話だがホントだ・・・。
******
今年に入ってから、ずーっと病気と闘っていたような気がします。
闘病生活は2ヶ月にも及び、その間に中学生時代の同級生が亡くなり、また別な友人との別れもあり、ここ数ヶ月目まぐるしく時間が過ぎました。
僕の様な年代になりますと、おめでたい話より、病気になったとか友人が亡くなったとか、そういう話題が多くなってきます…。
(≧∀≦)
そして今、手術後の片眼で見る世界は大きく歪み、全く異次元の世界となり、これはこれで考え方を変えれば楽しい世界です。どんな美人も歪んだ顔に見えますから。
HaHaHa
しかし現実世界では殆ど役に立たない状態です。
改めて健康である事の大切さが分かりました。
またそんな状況で、写真家としてこれからどうしていくか?
日々色々考える中で自分を見つめ直しました。
僕は後ろは振り返らない。
前に進みます。
これから新しい事を始めて行きます。
ご期待下さい!
上の写真は別な札幌のBARです。
このお店は33年間通っています。
この店も札幌にあり25年通っています。
BARは僕の人生の一部になっています。
今回30年の時を経て、二人の男の世界でどんな会話があるのか?
僕自身、今からとても楽しみにしております。
(#^.^#)
追伸:
上記写真の撮影に関して
カメラはSONYα7シリーズ、
レンズはSonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
素晴らしいボケ味と解像度は人物・スナップ撮影に優れ申し分ない。
また一枚目の写真の店は「Solitude」ソリチュード
そう孤独という意味です。
世界中にあるBARが賑やかなPubの様な店が多い中で、この店は異色で稀少な店です。語る場ではなく黙して飲む店。
先日はスタイリッシュな女性が一人でいらして、ウオッカマティーニをすっと飲んで帰られました。心地良いJazzボーカルをBGMに、Kentはギムレットを飲みながら、世界で写真販売する戦略を静かに考えていました…。
席料チャージは1,000円。
(#^.^#)
2枚目の店は「CHEERIO」チェリオ。ノーチャージ。
雰囲気は正反対です。
一人でも多数でもOK。
話し上手なマスターが小気味好く接客します。
会社帰りに寄る女性の一人客も多数いて、フードもあり、リーズナブルな価格設定と店内の雰囲気が若い方からご年輩まで幅広い客層にうけています。
Kentは札幌に行った時必ず顔出します。
(#^.^#)
ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
★ケント白石 写真家のCafe「てふてふ 4Kギャラリー」
Open Time : 14時~17時 不定休 写真術講座開講中
Tel:0166-92-5137
撮影で不在の時が多いです。来店前にお電話下さい!
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
ケント白石 写真家の宿「てふてふ」
★Facebookページ
「Kent Shiraishi Photography」
「Google+」
ブログ村「写真講座」ランキングに参加しております。
今回の内容がお役に立ちましたら一票投票お願いします。出来るだけ多くの方に読んで頂ければと思います。
下記「写真講座」ボタンクリックで一日一回だけ投票できます。