![]() | 昭和の名将と愚将 (文春新書 618)文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
半藤一利氏と保阪正康氏の対談による共著。愚将とは責任ある立場にありながら最も無責任な将」と言う。その筆頭に上げられているのが服部卓四郎と辻政信である。ノモンハン事変で無謀な戦争指揮をしながら、前線で奮戦した連隊長に責任を転化して自決に追い込む。問題は2人とも責任を問われず、軍の要職を歴任することである。ソ連恐怖症から南進を呼号して、太平洋戦争に日本を追い込む。この二人の背後にいたのが無論東条英機であった。
陸軍悪玉、海軍善玉のように言われているが、海軍でも石川信吾と岡敬純は対米強硬派で、日本を開戦に導いている。海軍大臣(嶋田繁太郎)や軍令部総長(永野修身)はこうした若手を抑えることが出来ない。彼ら青年士官は三国同盟の強力な推進者だった。
それから無謀なインパール作戦を指揮した牟田口廉也。何万人という兵士が死んだ。その大半は飢餓とマラリアである。その街道は「白骨街道」と呼ばれた。彼は日華事変を拡大したときの連隊長であった。盧溝橋で何発も銃声をならして、戦火を意図的に拡大した。
それから、瀬島龍三は台湾沖航空戦の誤報を伝える電報を握りつぶしたり、シベリア抑留に関するソ連軍との取引の疑惑がある。それについて真実を隠している。少なくとも真実を語っていない。
それから、特攻隊の責任者の大西瀧治郎、富永恭次、菅原道大。保阪氏は「犬死でもない、しかし英雄でもない、我々は感情的になっていけない」と姿勢が大事だと述べている。