増田カイロプラクティック【読書三昧】

増田カイロプラクティックセンターのスタッフ全員による読書三昧。
ダントツで院長増田裕DCの読書量が多いです…。

カラマーゾフの兄弟1-5

2008-02-11 16:20:36 | 増田裕 DC
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社

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念願のドフトエフスキーの小説を初めて読み終えた。念願というわけは、村上春樹も斉藤孝も「カラマーゾフの兄弟」をいろんなところで勧めていたからだ。それに、中学生のときに出た中公の世界文学全集の早めの配本に「罪と罰」があったが、読み通せず挫折した体験があった。それに、幼名、成人名、愛称と名前が色々出てくるのも敬遠する理由だったかもしれない。しかし、それも、食わず嫌いの言い訳かもしれない。日本の時代小説を読めば、日吉丸、木下藤吉郎、羽柴秀吉、豊臣秀吉など、名前の多様性ではロシア文学の比ではないのに、こちらの方はすらすら読める。
それに、批評家の丸谷才一がバフチンの「多声(ポリフェニー)論」「カーニバル論」をいろんなところで引いていた。それに基づいて、忠臣蔵をカーニバル論の視点から解いて見せた。バフチンはドフトエフスキー文学の批評家である。
そんなこんなで、ドフトエフスキーの小説はいつか読めねばという意識が高まっていた。岩波文庫の米川正夫訳の「カラマーゾフの兄弟」を読み始めたが、これは中途で挫折。そこで、今評判の亀山郁夫訳で一気に読破した。
亀山訳は一気に読めるようにリズムを大切にしたというように、前へ前へと進むことができる。それに、解説が丁寧だ。前に読んだ部分の荒筋の要約もある。この本で、印象に残ったのは、ロシアにおける宗教の問題である。ロシア正教会が分裂して、分離派の鞭身派とか去勢派という独特の少数派が農民の間に普及した。鞭身派という言葉は「真説ラスプーチン」で初めて知った。ロシアの怪僧のラスプーチンが鞭身派であったという。小説では、父親のフョードルに直接手を下して殺したのは下男のスメルジャコフであるが、それをそそのかしたのは次男のイワンである。このそそのかしについて、亀山氏はヒッチコックの「見知らぬ乗客」がそのテーマを扱っていると指摘していたので、昨日、DVDで見た。実行犯はスルメジャコフであるが、真犯人はイワンである。ここで、オウム真理教の麻原と弟子たちの関係が想起される。弟子たちはそそのかされたのだが、教祖の関心を買おうと積極的に殺人に走った。
いろんなテーマが織り込まれているので、一度読んだだけでは、分からないことが多い。少し時間を空けて、再読したい。

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