天皇の国・の国―両極のタブー (河出文庫 (お15-1))沖浦 和光河出書房新社このアイテムの詳細を見る |
この本も近くの本屋で買った。この貴賎の視点は網野善彦とも通じているが、沖浦氏の独自の観点は、日本の差別制度はインドのカースト制度の思想をもたらした国家鎮護宗教である密教が関与しているのではないかと言う疑いである。そこで、空海の思想が問題とされる。確かに、空海の明確な指摘がある。
「我及び仏の弟子に非ざるは所謂施陀羅悪人なり。仏法と国家の大賊なり。大賊は則ち現世には自他の利無く、後生には即ち無間の獄に入る。無間重罪の人は諸仏の大慈も覆蔭すること能はざる所、菩薩の大悲も救護すること能はざる所なり」。
施陀羅は無間地獄に落ちると述べているのだ。空海の思想をこれですべて駄目だと切り捨てる必要は無いが、その限界も記憶に留めておくとよい。