「優しくなりたいな」はアルバム「スーベニア」の4曲目に収録されています。
おなじみの浦島太郎さんです。亀の甲羅の乗り心地はいかがですか?
残響たっぷりで、しかも少しくすんだようなピアノの音で始まります。
そしてボーカルも、どれだけ響かせるのか、というくらい響いています。
これは学校の音楽室か講堂のステージで歌っているに違いありません。
したがって、この歌の僕も君も、どこかの学校の生徒、
おそらく高校生ではないかと思われます。
高校生の男子の頭の中は70%ぐらいが女の子のことで占領されています。
いつも、どんなときも、常に女の子のことで頭がいっぱい。
少なくとも私は、そして私の周りにいた友達もみんなそうでした。
この歌の僕も同じです。間違いありません。
君に片思いの僕は、もう君に夢中です。
君を知りたい、君に近づきたい、そして君とエッチしたい……
いや、「源氏物語」風にいえば契りを結びたいと、
真っ昼間から僕の妄想はとまりません。
周りにだれもいないがごとく君との妄想にふける僕のことを
「桜色に染め上げて」と、なんと文学的な表現であることでしょう。
「水の音を聞くたび いけない想像めぐらす」
季節は夏でしょうか。
水泳部の君がプールに飛び込む音、うーん、それはいけませんね、たしかに。
初恋といってもいい君への思い。
自分が優しくなれれば、もっと君に近づけるのだろうか。
それならドブネズミにでさえ優しくしてやるよ。
恋する男子の妄想はつきませんが、一方、片思いの女の子とどうやったら
うまくやっていけるのか、その思いを実現するための困難さに苦しむ僕。
夢と現実のはざまにいる僕は、ふうっと宙に浮いているようにも見えます。
「だけどいつか 届くと信じている」
思いを持ち続けていれば、きっと報われる。
大事なことは、君を思う僕の真っすぐな気持ちではないでしょうか。
もしも、今あなたに恋する人がいなくても、ここを歩けばきっと桜色に染まることでしょう。
おしまい