「仲良し」は1997年11月発売のシングル「運命の人」のB面です。
アルバムは「フェイクファー」(1998年3月発売)に収録されています。
カントリー&ウエスタン風のノリのいい曲です。鈴の音と一緒に、
ウン・チャ、ウン・チャの「チャ」のところで手拍子を入れたくなります。
歌い方でいうと、例えば「時はこぼれて~色褪せぬまま」のところの
「ときわーぁ こぼれていくよぉっ」の語尾、
「ゆめのせーかいぃも」の「いぃも」、
「いろあーせーぬまぁま」の「まぁま」など、細かいニュアンスまでは
とても楽譜にあらわしようのない独特の節回しがあり、好ましく思います。
また、ハイトーンマックスの「悪ふざけ」と「雨上がり」の出だしは
さすがに苦しそうで(わざとそう聞こえるように歌っているのかも
しれませんが)、これはこれで艶っぽさを感じます。
周りの人から「○○君と○○ちゃんって、いつも仲良しでいいよね」って言われて、
悪い気はしないけど、でもそれってちょっと違うんだよな。
それだけじゃないよっていう思いを伝えたくて、何回も告る言葉を考えるけど、
だめになることをおそれて結局言い出せなかった。
「きっと気のせいだよ」なんて自分の心をごまさないで、
ふざけたノリでもいいから思い切って打ち明ければよかった……。
「あれは恋だった」と過去形で書かれていて、片思いの恋をかえりみています。
記憶には浄化作用があります。全てとはいきませんが、時間のフィルターを
ゆっくりと通っていくうちに、嫌な思い出はしだいに漉しとられて薄まり、
楽しかったことはいつまでも「色褪せぬまま」心に残っていくのでしょう。
「サンダル履きの足指に見とれた」、この歌詞で一番好きなところです。
サンダルの先からのぞいているかわいらしい足の指を見て心に花が咲く。
まっとうなフェチ、その匂い立つエロスにちょっとキュンときました。
曲はボーカルの「あれは恋だった」でふいに終わります。
そして、その余韻を残して「楓」へつながっていきます。
おしまい