映画「アテナ」を観た。
2022年のフランス映画。
監督はロマン・ガブラス。
出演はダリ・ベンサーラ、
サミ・スリマンほか。
一人の少年が警察官に殺される。
それが引き金となって、若者達が
警察署を襲い、団地に立て籠もる。
リーダーとなるのは殺された少年
の兄だ。犯人の警察官を公表せよ、
と警察に迫るが・・・。
少年には三人の兄がいて、暴動の
リーダーは一番年若。その上の兄
は警察官、長兄は麻薬の密売人。
物語は、三人の兄弟の葛藤を軸に
して進んで行く。
と言っても、物語の展開は重要で
はないようだ。若者が暴れる場面、
兄弟が進退をめぐって争う場面、
機動隊が団地に乗り込む場面など、
各場面をいかに劇的な映像で表現
するか、を追求する映画のようだ。
何故こんな作品が映画として成立
するのだろう。若者の鬱憤が溜ま
っているのだろうし、警察に代表
される国家権力に対する不信感も
あるのだろう。また、そんな分断
を画策する右翼の存在感も増して
いるのかもしれない。
映画は、その社会を何らか映す面
があるとすれば、今のフランスは
不穏で、やや子供っぽくて、収拾
が付きにくい状況のようだ。