映画「ある男」を観た。
2022年製作の日本映画。
監督は石川慶。
原作は平野啓一郎。
脚本は向井康介。
出演は妻夫木聡、窪田正孝、
安藤サクラほか。
離婚して幼い息子を連れて郷里に
戻った女。他所から来た男と出会い
再婚する。娘も生まれ幸せに暮らす
が、男は事故で死んでしまう。
葬儀に来た男の兄は遺影を見て、
自分の弟ではないと告げる。
4年半も一緒に暮らした夫は一体
誰だったのか? 離婚時に世話に
なった弁護士に調査を依頼する。
第46回日本アカデミー賞の最優秀
作品賞。確かに、本格的な映画ら
しい映画ではあったが…。
残念ながら感動は薄かった。
役者はみんな演技達者だった。
印象的なセリフも多かった。
終ってみると、それら含めて全部
がいかにも作りモノっぽく感じら
れてしまうのが勿体ない。
進むにつれ真相が明らかになるが、
それが嘘っぽく思えてしまうのだ。
この男の心情に共感できないのだ。
別人になりたいのは、他人の見方
を変えたいからだろう。自分の内
側の問題とは思えない。
そして、現実として大事なことを
ミステリーという虚構の道具にして
ることに嫌悪感さえ感じるのだ。
原作の問題か、映画の問題か。
改めて原作を読んで考えてみたい。