これまでの経験から、楽曲やシーンによって次の3パターンに分類される。
①B♭管パートのオクターブ(ユニゾン)
②フルートオーボエパートと同一
③エスクラという独立した1パート
①は90年代までの課題曲などに多く、クラリネットパートの補強として響きを増すためと思われる。なので吹き方としては常にB♭管パートにブレンドするよう心掛けている。
またこの場合、音域の変換という役目もある。例えばB♭管が開放のソやラを出す時、エスクラユニゾンであれば左手のレやミに相当する。どちらの方が良い音が鳴りやすいかは比べるまでもない。従ってその箇所のみ他よりも少し強調した演奏を行う。
②は近年メインの使われ方で、この場合パート練習などもクラリネットではなく高音木管で行った方がよい。ってかそうでないと意味がない(クラリネットパートの人数を割かずにパート練習を聞くという意味はあるが)。この場合の吹き方は、ブレンドではなく輪郭を出すことを最も意識する。そもそも相手がフルート(笛)オーボエ(二枚リード)という異なる発音方式なのだから、ブレンドさせる意味もない。それよりも非力なこれらパートにエッヂを与えるためと解釈する。そして何といってもこの出張パート練習が普段と違う環境なだけに楽しいのだ。
さて③である。2010年代以降の課題曲Ⅴに代表される現代曲や、長生淳の大編成スコア、近年流行りのヨーロピアンブラス曲のアレンジに該当する。「君は林檎の木を植える」「科戸の鵲巣」「宇宙の音楽」「ブリュッセルレクイエム」などである。当然これらの曲中に①や②のシーンもあるので、その時にはそれに応じた対応を行うが、突如として訪れる③のシーンを見極めて一気にギアを変える必要がある。私が過去に科戸を演奏した際はクライマックスのソロでマーラーばりのベルアップを行い、審査員の著名なクラリネット奏者より「エスクラブラボー!」と講評用紙に明記頂いたことは光栄であった。
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