COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

限りある地球に住む一地球市民として、微力ながら持続可能な世界実現に向けて情報や意見の発信を試みています。

飛躍的に進化するテクノロジーと人類の未来

2006-12-02 20:31:39 | Weblog
 発明家レイ・カーツワイル氏のことは、9月に放送された「未来への提言 第5回目~発明家レイ・カーツワイル テクノロジーの進化を予言する~」に登場するまで知りませんでした。彼は10代から天才発明少年として注目され、文章を読み取るフラットベッドスキャナー、読み取った文章の音声化、目の見えない人でも演奏でき、人間の声も再現できるシンセサイザーなど数々の発明で、現代のエジソンと呼ばれているそうです。未来予言者としても注目されており、1988年に出版された著書の中で、90年代初めの軍事戦略の大きな変化(湾岸戦争で実証)、90年代半ばの世界中を結ぶネットワークの誕生(インターネットで実証)、98年にコンピューターがチェスの世界チャンピオンを負かす(1年の誤差で実現)など、コンピューター技術の開く未来予測を次々と的中させました。12月3日 13:10-14:00 NHK衛星第一で再放送されるので、案内をかねて視聴記を書き込みます。
 番組は慶応大学の徳田英幸教授が聞き役で、ナレーターの解説を交えて進みます。テクノロジーの未来予測が可能な理由は、情報技術が毎年2倍ずつ成長することにあるそうです。これは10年で千倍、25年で十億倍を意味します。同時にテクノロジーの進歩で様々なものが小型化し、理論的には25年で十万分の一になります。
 未来はどうかというと、急成長する以下の三つの技術が、新たなテクノロジーの進化を促すそうです。即ち、遺伝子工学領域では、人を2万3千の遺伝子というソフトウェアを内蔵した情報処理技術として扱い、欠陥のある遺伝子を見つけてプログラムしなおすことで病気や老化を抑制し、ナノテクではあらゆる物質を原子レベルからプログラムすることで着物から食べ物まで何でも作り、ロボット工学では人間のレベルの知能を持つ人口知能を作ろうというのです。
 最近の著書「The singularity is near(シンギュラリティー(特異点)は近い)]では、テクノロジーが究極の進歩を遂げた未来像を描いているそうです。2020年にはナノテクの進歩で、血液細胞より小さいロボットが体内を駆け回り、病気を治療するというのです。実際に抗がん剤を埋めこみ、がん細胞を標的にするようなアンテナをつけた粒子(ステルスナノ粒子)を使った動物実験で効果が証明されているそうです。「人間への応用には安全面、倫理面で疑問視する意見も少なくない」とのナレーションが入ります。カーツワイル氏自身が著書の中で、三つの技術の進化と融合の影で、人間は得られる恩恵と同じだけの危機をかかえこむことになるだろう」と警告しています。
 何と2045年には、人類全体の知能の10億倍の能力を持った人工知能が登場し、人間が制御できなくなる可能性のある未知の領域に入るというのです。この領域との境界が特異点です。カーツワイル氏は「テクノロジーの進歩が可能性と同じだけの危険性を生み出すこと、システムが複雑になるにつれ不完全なものになって行くので、人工知能は完全なものではあり得ない」と述べています。また、「将来の新しい技術をシェアできるのはほんの僅かの人々だけだろう」と語っていました。
 ナレーターは「テクノロジーのあまりに急速な進歩に懸念を抱く科学者も現れ出し、特異点到来を食い止めようとする動きも始まっている」と述べています。番組最後にカーツワイル氏が挙げたキーワードは「加速」でした。コンピューターにより加速する知識の激増に人類の知性が遅れをとってはならないということです。どうすれば持続可能な世界を実現できるかに関心のあるブログ作者には、生煮えの理解しかできない番組でしたが、テクノロジーの進歩がもたらす未来像でどんなことが考えられているか知る意味では見ておきたい番組です。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「いつも心に青空を」改訂版 | トップ | 虐殺や戦争の後遺症に苦しむ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も衝撃を受けた番組です。 (橋本 桂子)
2007-05-25 15:05:41
初めまして。

昨年末のある日、たまたまTVをつけたら、彼の番組を放送していて、良い意味でとても衝撃を受けました。
そして、USで発行された著書の日本語訳を読みたいと思い、GOOGLEで「現代のエジソン」と検索した所、こちらにHITしました。

私が最も衝撃を受けた彼のコメントは、「多くに共通するパターンがある」と言う事です。たぶんそれが、彼の発明の原点や哲学的なものに通じているのだと思っています。

ありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事