

IT、バイオテク、ナノテクでは放射性同位元素を無害化できない
京都大学の山中伸弥教授が、iPS細胞の研究でノーベル医学生理学賞を受賞しました。山中教授の研究のようなバイオテクノロジー分野に限らず、様々な分野での科学技術の進歩には眼を見張るものがあります。現在は不可能なことでも、将来の科学技術の進歩によって可能になることが期待されます。しかし原発廃棄物の場合は、事情が大きく異なります。対象が固有の半減期を有する放射性同位元素そのものなので、化学反応は勿論、IT、バイオテク、ナノテクでもその性質を変えて無害化することはできません。放射性同位元素は放射線を発しながらそれぞれ固有の半減期で崩壊してゆくので、半減期の何倍もの時間をかけて減衰を待つしかありません。科学技術で可能なことは、巨大なロケットに乗せて宇宙のかなたに廃棄するくらいでしょう。そんなことに莫大なコストとエネルギーを投入するより、金がかかると批判のある自然エネルギーの開発・普及をはかるべきです。
遮蔽して厳重に保管するしかない
やむなく放射線が漏れないように遮蔽して、できるだけ安全な場所に保管するしかありません。フィンランドでは地下深く埋設する計画が進んでいますが、ドイツやアメリカでは核廃棄物の最終処分場設置計画が暗礁に乗り上げ、日本のように地震の巣のような国では、適地を見つけるのが一層困難です。たとえ何処かに最終処分場を作っても、将来の世代への負の遺産以外の何物でもありません。
事故と放射能汚染の脅威
更に憂慮されるのは事故と放射能汚染の拡散です。地震・津波に対する安全対策の強化が叫ばれていますが、それで安全が確保される保証はありません。そのうえ、地震や津波以外の要因による事故の可能性(機器の劣化、コンピューターの誤作動、人為的ミス、恣意的誤操作、航空機の落下、テロリスト攻撃、サイバー攻撃等々)を完全には除外できません。福島の事故は、ひとたび事故が起こった際の安全確保と施設の解体・無害化が如何に困難で長期に及ぶかを証明しています。城南信用金庫は11月9日城南総合研究所を設立し、その第一弾として発表された調査報告書No. 1では、原発は恐ろしく高コストで、将来大幅な電気料金値上げにつながる発電方法であると警鐘を鳴らしました。
エネルギーシフトへの挑戦
前掲のエイモリー・ロビンス博士のエネルギーシフトへの挑戦で紹介したように、アメリカのエネルギー科学者ロビンス博士は、五つの「もし」を実現すれば、日本が世界のエネルギー問題でリーダーシップを発揮して行けると語りました。ロビンス博士と協力者達は、アメリカは2050年までに石炭と石油の消費を止め、原発に依存しないエネルギー効率化と再生可能エネルギー社会への移行が、ビジネスとして可能であることを示唆する研究の成果を近著「新しい火の創造」(ダイヤモンド社、2012年10月出版)に発表しました。ドイツは福島の事故後、10年前にできていた脱原発計画を復活させ、古い原発8基を即座に閉鎖し、10年後の完全脱原発を見据えた再生可能エネルギー推進への道を歩んでいます。ドイツは再生可能エネルギーを、関連産業の成長が雇用を生み、国民に恩恵をもたらす21世紀最大の成長分野とみなしているのです。まさに新しい火の創造の国家レベルでの実践です。詳しくは、ドイツのエネルギーシフト最前線視聴記を御覧ください。
国の経済発展のために原発は維持して欲しいが、原発や核廃棄物処分場を近隣に持ってこられるのは御免だと考える人は少なくないでしょう。たとえ原発や処分場が近隣になくても、原発稼動を続けることは、作業員と施設周辺住民を事故と放射線汚染のリスクにさらし続け、将来の世代への負の遺産を増やし続ける事になるのです。思い切って、ドイツのように再生可能エネルギー推進への大転換を図ってはどうでしょうか。
先ず、環境ありきで経済を豊かにする政策に切り替えることが重要な時に来たと思います。
雑草からバイオ燃料を取り出すと言う技術の酵素分解技術が低コストでできると言う報道を見たとき。
素人ながらにこれだと思いました。
藻で作られるバイオ燃料も開発を推進して欲しいです。
放射能は固体の持つ能力なのでそれを消失させることは出来ないですね。
確かな隔離しかないのが現状ですね。
日本の豊かな自然環境と文化を守っていきたいです。