コンセールルミエール

フルートアンサンブル 
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ケテルビー

2007年08月09日 | 作曲家
8月9日はイギリス生まれの作曲家ケテルビーの誕生日です。ドードードー、ラソラソミーミー」という有名な「ペルシアの市場にて」の作曲家です。
1875年の今日、イギリス中部バーミンガムに生まれたアルバート・ケテルビーは、実は天才少年作曲家でした。11歳で自作のピアノ・ソナタを公開演奏して大作曲家エルガーを唸らせ、13歳の時には同輩ホルストを抑えて奨学金を手にして音楽学校に入学。ここでも抜群の成績を収め、わずか16歳で由緒ある教会のオルガニストとなりますが、若いケテルビーは教会勤めを続ける気はなく、契約満了とともに劇場の音楽監督に就任。バレーやオペレッタといった音楽ビジネスの世界で大活躍を始めます。そして30歳を過ぎる頃、満を持して本格的な管弦楽作品や室内楽曲を書き始めるのですが、これが全然受けません。彼はがっかりしながらも、レコード会社の重役、音楽出版社の編集長、放送局の軽音楽編曲・指揮などで多忙な毎日を送ります。
そんなある日、放送時間の穴埋めに「修道院の庭にて」という小曲を書いたところ大当たりし、彼はたちまち人気のヒット・メーカーとなりました。「ペルシアの市場にて」「中国寺院の庭にて」「エジプトの秘境にて」「牧場を渡る鐘」といった彼の一連の標題付きの小品は、親しみやすいメロディ、鮮やかな管弦楽法、豊かな異国情緒、そして分かり易い筋書き……とサービス満点で、誰でも簡単に理解でき、楽しめます。また、彼の曲が当時ピークを迎えていたサイレント映画の伴奏音楽としてもぴったりだったことを忘れてはなりません。事実トーキー映画の普及と共にケテルビーの作品の需要は減り、彼は標題音楽の作曲を止めるのです。しかしその前に充分稼いだケテルビーは、イギリス海峡沖の小さな島、ワイト島に早々に引退し、長い余生を大好きなビリヤードと読書、チェロ演奏でのんびりと過ごしたのです。