コスモス店主は、父である新山清の作品がドイツのエッセンにある写真美術館MUSEUM FOLKWANGに収蔵されているとの情報を手に入れた。
フランクフルトから鉄道で三時間ほどの街へ、キッケンギャラリーへの訪問とペーパーワールド(紙の見本市)の視察の合間の僅かな時間を利用し急いだ。
しかしその前に腹ごしらえである。フランクフルト駅構内にたまたま見つけた寿司屋にて早速
ニッポンロール
なる、揚げられた巻き寿司を注文してみた。全体にかかっているのは醤油ではなく甘いソースである。これが驚くほどにマズイ。さすがの店主も二切れで箸を置いてしまった。
やはり同じ二つならばこうあるべきだとの、コスモス店主。
エッセンの写真美術館では英語が通じず、はじめは意思の疎通がままならなかった。
しかし英語のわかるドイツ人来館者の助けを得、なんとか司書の方を呼んで貰うことが出来た。
店主は聞く。「父の写真が収蔵されているいうのだが・・・」
しかし答えは「無いと思います」
そんな筈は無いと調べて貰うことに。コスモス店主は待った。すると・・・
こんな一冊を手渡された。緊張しながら捲ってみると・・・
コスモス店主のコメント。
「1984~1986年の間にSANFRANCISCO,TEXAS,ESSEN,UMEA,STOCKHOLM,HELSINKI,SAARBRUCKEN.BRUSSEL,BARCELONO にSUBJEKTIVE FOTOGRAFIE 展として、その他の写真家とともに新山清の作品も展示され、本にも載っているのですが、残念ながら絶版とのことでした。コピーをいただきました。頂いた方はオットーシュタイナートのアシスタントを長年勤め、現在このミュージアムの重鎮の女性でした。」
該当のページを複写し、実物は古本屋にて探してみようと、目的を達成したコスモス店主は思いを馳せながら、エッセン市内のバーにてビールを頼むのであった。