COZY ROOM

『家具通販ショップ COZY ROOM』のネコ社員たちのCozyな日々

スイカ

2013-08-01 09:00:00 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

 

 

 

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クリスマスシュートレン

2013-01-24 18:25:27 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

空はうす曇り。
冷たい北風が今にも雪をはこんできそう。
クリスマスを間近に控えた冬の日の午後、
そんな空を見上げていたのもつかの間
わたしは急ぎ足でパン屋へ向かった。

ドイツの古い街の片隅にありそうな、
こぢんまりとしたそのパン屋には
たくさんの小さなクリスマス飾りがにぎやかく飾られていた。
でも、にぎやかなクリスマス飾りとはうらはらに、
人気のパン屋だけあって、棚にはもう
ほんの数種類のパンしか残っていない。
おじさんとおばさんの2人だけで作っているから
焼き上げられるパンの数にも限りがあって、
ま、しかたないかと、残っていたパンを品定め。

そうしている間にも、1人、2人、3人とお客さんが入ってくる。
のんびり選んでいたら残っている少しのパンがとられてしまいそうで、
ちょっと焦りながら目についたパンを次々とお盆の上に乗せ、
レジへと向かう。

先に並んでいた人、後からお店へ入ってきた人は
レジでパン屋のおばさんから「シュートレン」なるものを受け取っていた。

えぇ、もうシュートレンは残りわずかになっているんでございますよ。
さっきも、電話がありましてね、「シュートレンまだありますか!?」って。
残りふたつですー、後はご予約くださいませねーってお答えしたとこなんでございますよ。

パン屋のおばさんが、江戸っ子のような早い口調でお客さんに話しながら
手際よくシュートレンを袋に入れていく。

シュートレンはかわいいクリスマスカラーの細長い箱に入っていた。
生地にはドライフルーツやナッツ、マジパンが練り込まれ、
表面には粉砂糖がふりかけられている、ドイツのパン。
大きなサイズのシュートレンを、クリスマスまでのアドベント期間に
少しずつスライスして食べるのが本来の習わしらしい。

わたしはシュートレンが気になってしかたがない。
残りふたつと言われれば、よけいに気になる。

買ってしまおうかどうしようか。
自分の中の葛藤と戦いながらのろのろとお釣りを財布へ入れるわたしに、
パン屋のおばさんはパンを袋に入れながら早口で言う。

えぇ、えぇ、ゆっくりでいいんでございますよ。
忘れ物しちゃぁ、いけませんからね。
ほら、あの腕時計。
忘れていった人がまだ取りに来ないんでございますよー。

ははは。

おばさんの粋な口調がおもしろくて、思わず笑ってしまう。
会社に戻ったら、さっそくカマダイさんに話そう。

そう心に決めて、袋いっぱいにつめてもらったパンをかかえ
ゆっくりとお店のドアをしめると、
にぎやかなクリスマス飾りの向こう側に
手際よく、そして忙しそうに働いているパン屋のおばさんの姿が見える。

わたしは、きっと今ごろ、サンタクロースのお家でちょこまかと動きながら
忙しそうにクリスマスプレゼントの準備をしているであろう
妖精のトントゥを思い出していた。

これは、ほんの、1か月前のおはなし。


<やました>

  

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幸せのおっさん のつづき

2012-11-01 16:35:23 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

幸せのおっさん のつづき>

里はよく食べる猫だった。
人の顔をみるたびに、「ご飯ご飯」と言ってきた。
ついさっき、家人からご飯をもらったばかりなのに
「腹が減って死にそうなのだ。」と平気でうそをつき、催促をしてくるのだった。
1回に、猫皿3杯はおかわりをする。高校生男子か!
 
よく食べるおかげで、がりがりだった体には栄養がたくわえられ、
「ザ・オスネコ」と言わんばかりの本来の立派な体格になった。
そしてしばらくすると、あごの下にオス猫の青春の勲章であるにきびができていた。
高校生男子か!!


体力がついてくると、穏やかだった(ように思えた)性格はどこへやら、
次第に態度がデカくなり、彼は変貌をとげていく。
鼻息をふっ!ふっ!とならしながら、猛スピードで先住猫を追いかけたりする。
突然やってきた新入り、それもチョビヒゲのあるデカいおっさん顔に追いかけ回されるなんて
他の猫たちにとってはゆるしがたき事態であることは間違いなく、
わたしの心は少し、ちくんと痛んだ。


里はダイニングの椅子の上で寝るのがお気に入りのようだった。
椅子を2つ占領して、ひっくり返って体をのばし
にきびができたあごを見せびらかすかのようにして、いつも寝ていた。
それを知らずにダイニングにやってきて、
チョビヒゲとにきび面のおっさんがひっくり返っている姿にでくわすなんて
これもまた他の猫たちにとってはゆるしがたき事態であることは間違いなく、
またもや、わたしの心は少し、ちくんと痛む。


里の大きな体と力は比例する。
つっかえ棒をして開かないようにしてあった網戸なんぞ、楽々と開けてしまう。
鍵をしていなければ、窓さえも開ける。
「ガラッ」と誰かが窓を開ける音がしたので振り向くと、里が片手で窓を開け、
今まさに外へ出かけてやろうと片足を窓枠へかけているところだった。

驚いたのは、外から帰ってきたときにも、自分で「ガラッ」と片手で窓を開けて
「帰ってきたぞ。」と言いながら家へ入ってきたこと。
そんなことをする猫は初めてである。

しかし猫というのは、開けることはしても、絶対に閉めることはしない。
そんなこんなの里のおかげで、今年の夏のやました家は気が付けば窓が開けられており
そこから自由自在に入ってきた大量の蚊に、人間たちは夏の間中、悩まされ続けた。


我がもの顔で暮らしはじめたその姿をみていると、
胸のあたりに不思議な感覚がわいてくるのだった。
たいがい猫をみていると、その可愛らしさにへにょ~んと顔がゆるんで
間抜けな笑顔になってしまうのだが、里は可愛いというよりもおもしろい顔であり
その容姿には人間をへろへろにさせてしまうような要素は、ない。
にも関わらず、その大きなおっさん顔や大きな手足をなでたり
たのもしい大きな背中にもたれかかっていると、
なんだか、かわいくて愛おしくてしょうがなくなってくる。
この魅力はなんなのだろうと考え続けていたある日、ひとつの答えがひらめいた。

「あ、これが“ぶさかわいい”ってやつか・・・。」


猫であれば習性的に狭くて暗い場所が落ち着くもののはずだけれど、
里は、決して狭くて暗い空間に入ろうとしなかった。
そして、頭をなでようと前から頭に手をかざすと、いつも瞬時に怯えて後ずさりをする。
長い野良生活の頃なのか、その前なのかはわからないけれど
何かとても怖い思いをしてきたのだろうと思う。

ひっくり返って気持ちよさそうに体をのばして寝ている里の大きな手と大きな足、
大きな顔をなでながら、わたしはそれまでの彼の生活に想いをはせていた。

これからはもうご飯に困ることもないし、冬はあったかいところですごせるんだよ。
もう大丈夫だよ。という気持ちをこめて、「よかったね」と言ってみた。

すると、里は少し目を開け、寝ぼけた幸せなおっさん顔をして
「なにが?」とひとこと言い、また夢の中へ戻っていった。

そしてわたしはまた、胸のあたりにわいてくる不思議な感覚を感じながら、
いつかどこかの誰かが言った
「猫とは、この世界で唯一、人間をペット化することに成功した動物」
という言葉を、再び思い出していたのだった。

おしまい。

<やました>

 

 

 

 

 

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幸せのおっさん

2012-10-25 15:37:48 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

時間外の少し薄暗い病院には、もう他の患者はいなかった。

「やせていますけど、大きな怪我はしていないし、食欲はあるみたいだし、大丈夫でしょう。
念のために、精密検査をした方がいいですけどね。」
いつもお世話になっているベテランの女医さんは一通りの触診をして、
「体の汚れが落ちれば、きれいな猫になると思いますよ。」と言った。

また、拾ってしまった。

自分のこの“猫センサー”の性能の良さは、なんなんだろう。
昔から、センサーのスイッチを切っておくのをうっかり忘れていると
いつも不意に、困っていますよと命がけでアピールする猫が現れるのだ。



2月半ば、わたしは冬の薄い日差しが暮れていく方向へ車を走らせていた。
大きなカーブへさしかかると、反対車線の車が
道路の真ん中にうずくまっている何かをよけられずに止まってしまっていた。
「猫だ」と気づいた瞬間、わたしは反射的に車を路肩に止めて道路へ飛び出していた。
猫を歩道へ連れて行き、「気をつけて。」と声をかけ、
無事な場所にいることを見届けてからまた車を走らせたが、どうにもこうにも心がざわついていた。

思ったよりもふわっと軽く持ち上がったな。

その軽さとぬくもりが、まだ手の中に残っていた。

「うーん、だめだこりゃ。」と自分に言い聞かせるようにつぶやき、Uターン。

しかし、先ほどの歩道に猫はもう、いなかった。
背を低くして辺りを見回してみても、いなかった。

もう少し探してみて、それでもいなかったらあきらめよう。
と、覚悟を決めて反対側の歩道に行くと、そこにいた。

なんだよ、あっさり見つけちゃったじゃないか。



「いい人に拾われたねぇ。」

後日訪れた動物病院で、いつもうちの他の猫たちを診てくれる四角い顔をした獣医さんが
精密検査の準備をしながら、診察台の上でびびっている猫に話しかける。

「はぁ。また、やってしまいました。」とわたしは力なく答えた。

他の猫たちにばれたら「また!?あんた、ほんとうにばかね!」と
いつものように怒られるに決まっている。
「しかも、今度は子猫じゃなくて、顔がデカいおっさんじゃない!きーっ、ありえない!!」なんて
言われるんだろうなぁ。
そしてわたしは「ごめんなさい」と、いつものように謝るのだ。

そう、猫はもう立派なオスの成猫だった。
片方の耳には、「飼い主のいない猫ですが去勢手術をしてありますよ」という目印の
V字のカットがしてあった。
体も顔も手も足もデカく、本当にチョビヒゲのあるおっさんのような顔をしていたため、
家人はその顔を見るたびに「おもしろい顔だおもしろい顔だ」と笑っていた。

おっさんは、食べるとき以外はずーっと寝ていた。
どういうわけか、わたしの枕が気に入ったらしく、ずーっと枕の上で寝ているので、
おかげでわたしは枕の端っこ数センチの部分に頭を乗せて眠りにつき、
朝に目が覚めると目の前には顔のデカいチョビヒゲがいるという窮屈な生活を、しばらく強いられていた。

数週間が経ち、獣医さんが処方してくれた薬のおかげで口内炎が治り、めでたくお腹の虫も退治され、
当初2.7キロという成猫の標準体重の半分しかなかったおっさんは、少しふくよかになってきていた。
ぼさぼさだった毛並みがきれいになってくると、おっさんは勝手に家じゅうを探検するようになった。

そうなると案の定、すぐに他の猫たちにばれてしまい、
おっさんと出くわしたどの猫も「ひょぇっ」と小さな悲鳴をあげたあと、すぐにわたしのところへやってきて
「また連れてきたの!?あんた、ほんとうにばかね!」とののしり、
「しかも、今度は子猫じゃなくて、顔がデカいおっさんじゃない!きーっ、ありえない!!」と
まくしたてるように怒った。
そして、わたしは「ごめんなさい」と、いつものように謝り、その場をやりすごした。

お世話になっている建築士さんが、もらってきた(というか、半ば押し付けられたような?)1匹の猫を
飼いはじめたが、「それがいつの間にか全部で5匹になっちゃって。」と照れくさそうに話してくれたとき、
「えー!5匹!?」と大笑いして驚いたのはどこの誰でもない、このわたし。

ひとごとを笑っている場合ではなくなってしまった。
おっさんがきて、これでうちも全部で5匹。

念のために、もしかしたらこのおっさんを探している人がいるかもしれないので
保健所と警察に連絡をし、迷子猫のサイトに掲載もしたけれど、一向に心当たりは見つからなかった。
そういうわけで、わたしはおっさんに、うちの家族になろうね、とまたもや猫にプロポーズしたのだった。
いつかどこかの誰かが言った、
「猫とは、この世界で唯一、人間をペット化することに成功した動物」
という言葉が頭の中でリフレインしていた。
ぐうの音も出ない。
悔しいけれど、その通りだと思う。
猫にはかなわない。降参です。
ぐぅぅ。



しばらくして、おっさんおっさんと呼んでばかりもいられないことに気づき、「里(さと)」という名前をつけた。
サトイモの「里」。
なんか、里芋のように穏やかでやさしい風味を持った性格をしていたので。

しかし、その後、里は変貌をとげる。

実は全然、“里芋のよう” ではなかったのである。

つづく。

<やました>

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なくし物

2012-09-21 15:28:59 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

暑さ寒さも彼岸までとはよくいったもので、早朝、猫に起こされて窓を開けると、外はいつもと違う少し冷たいさわやかな朝の空気に満ちていた。

近くから、木の実をついばむ小鳥のさえずりが聞こえてきた。

 

「なくした物がみつかるかもしれません」

このひとこと、“今日の占い”でよくみかけるけれど、占いにそう言われて本当にみつけたいと思っている物がみつかったことなど、一度もなかった。

結局、「しょせん、占いだし。ふんっ!」なんて、なくした物の代わりに心の中のいじけ虫をみつけるのが、いつものオチ。

小学生のころ、どこかの誰かがテレビで、「“にんにく”というと、なくし物がみつかります!」と話しているのを耳にした。

そのときからわたしは、なくし物があるときは「にんにく!にんにく!!」と呪文のように唱えながら探している。

不思議なもので、この呪文がけっこう効く。

みつけたい物とまったく関係のない“にんにく”という単語を口にすることによって、ない、ない、ない、ないー!とパニックに陥った頭の中をリセットできて、それが功をなして思わぬところでなくし物をみつけられる・・・そんなシステムなのだろうか、などと勝手に分析をしてみる。

ってことは、この呪文、にんにく自体を探すときには、まったく役に立たないのであろう。

 

ずいぶんと長い間、探しても探してもみつからない物があったのだけれど、それがなんと今朝、突然、目の前にあらわれた。

それは、つつましく、ちょこんとテーブルの上にのっていた。

探していた物は、鍵。

やはり、玄関の鍵がないゆえに怪しく窓を出入りするという生活はどうにもこうにも不便で、よし今週末にはスペアを作るぞと、昨日、決意を固めたところだったのに。

占いに当てのない期待を抱かされていたわけでもないし、ましてや、今日は「にんにく」ってひとことも言ってはいない。

驚いた。

 

鍵をテーブルの上に置いたのは、家人であった。

明日1日鍵を貸してほしいという昨夜のわたしからの申し出を受け、自分の鍵を置いておいたのだと言う。

しかしながら、どう見ても、どこから見ても、目の前の2種類の鍵とキーリングの形はかつてわたしが持っていたものに間違いないのだったが、「これはわたしの鍵である」といくら言っても信用してくれない。

なんたること。

驚きの次は愕然とした気持ちがわたしを襲う。

そこで家人は自分の鞄を調べはじめた。

それみたことか、出てきたではないか、もう1ペアの鍵が。やーいやーい、ざまぁみれ。

どういうわけか、ある日わたしが使っていた家の鍵を手にして、それを自分が持っている家の鍵だと思い込み、ずっと使い続けていたのだという。

思い込みっておそろしい・・・。

 

かくして、驚きと愕然を乗りこえたわたしは、占いと呪文の助けを借りずとも「なくし物」をみつけられた幸運を喜ぶことにして、さわやかな朝の空気の中で玄関の鍵をきっちりと締めて家を出た。

こんな何気ない幸運ってのは、ある日突然、さりげなく訪れる。

それなら、時には「なくし物」をするのもわるくないのかな、と思うのだった。

<やました>

 

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今日は、ねこのお話 のつづき

2012-08-07 16:44:01 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

今日は、ねこのお話 のつづき>

 

勇気を出して開けた「シャンゼリゼ通りへの扉」の向こう側には、誰もいなかった。

美容室のお兄さんもいなければ、お客さんもいない。

 

ご、ごめんくださぃぃ

 

2度ほど、そう言ってみると、奥の方からあの時のハンチング帽のお兄さんが出てきた。

 

あの、先日の、子猫の・・・。

と言うと、お兄さんはすぐに思い出してくれて

その後、子猫を探しにたずねてきた人はいないよと教えてくれた。

何か情報があったら連絡しますね。あ、そうだ。ちょっと待っててください。

と言って奥へ戻り、名刺を持ってきてくれた。

 

CASQUETTE

 

名刺にかかれていたお店の名前をみて、わたしは、はっとした。

お兄さんがかぶっていたのはハンチング帽ではなく、

「キャスケット」なる名前のおしゃれ帽子だったのか・・・。

わたしはまた、恥ずかしさで顔が赤くなった。

 

 

おまえさんはのらねこだったのかねぇ。

家に帰り、子猫に聞いてみる。

子猫は「うん、そうなの。」と答えるはずもなく、

人の話も聞かずに、ご機嫌で転がり回って遊んでいる。

その姿は、けしからんほどにかわいかった。

 

 

それまでのわたしは、14歳で天国へ旅立った先住猫のことを、

まるで昨日の出来事のように度々思い出していた。

ずいぶん長い月日を、そうして過ごしていたような気がする。

彼女はまだ、“おばあさん”と呼ぶのは失礼に思えてしまうくらい、毛艶もよくて若々しかった。

毎年の検診で心臓が弱っていると言われていたのだけれど、日常生活には支障がなく、

よく食べ、よく寝て、よく甘え、よくかわいがられ、それまでの14年間と同じ毎日を暮らしていた。

ある日、通称「香箱座り」と呼ばれる姿勢で朝から体勢を変えずに寝ていることに異変を感じて

病院に連れていってから約1週間後の夜、

彼女は今にも泣きだしそうな顔をしたわたしの腕の中で大きく伸びをしたあと、

爪でわたしの左腕にひと筋の傷をつけ、天国へと旅立っていった。

あの1週間のことは、今思い出しても胸がつぶれそうになる。

この子猫と同じ、お腹が白くてこげ茶色のキジトラの猫だった。

 

 

転がり回って遊んでいる子猫を抱っこして、

わたしはこの先、少なくとも20年は健康で生きていくという固い決意をし、

そして、子猫にプロポーズをした。

おまえさんを一生大切にします。だから、一生、一緒にいてください。

 

かくして、当時ひとり暮らしをしていたわたしの、子猫との2人生活が始まった。

子猫は、姪っ子に「空(そら)」という名前をつけてもらった。

 

美容室の前で空に出会ったのは、先住猫の命日から数えて

ちょうど1年と1ヶ月目の日の夕方だった。

そして、空と出会ったあの「シャンゼリゼ通りへの扉」のある美容室は

15年前に彼女を拾った公園のすぐ近く。

空は、心のどこかに胸がつぶれそうな想いを抱えていたわたしのところへ

彼女が遣わせた使者なのかもしれない、などと勝手な妄想を抱く。

 

数日後、動物病院で健康診断をしてもらったのだが、

そこで空は“お土産”もつけて遣わされてきていたことが判明した。

やました家へ15年ぶりに、男の子の猫がやってきたのである。

 

おしまい。

 

 腹の上で寝る。

 即席で用意した「トマトの箱のトイレ」を使用中

  びっくり顔のわんぱくボーイ

 

 大きくなりました。

<やました>

 

 

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今日は、ねこのお話

2012-08-02 18:47:58 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

あれは夏の日の夕方。

わたしは待ち望んでいた本を本屋さんの「本日発売!」のコーナーから手に取り、

その他もろもろの興味が引かれる本を立ち読みし、

機嫌よく本屋を出て、スクーターに乗り家路についていた。

道路わきの最近できた新しい美容室が目に入り、

こじんまりとしているけれど、色づかいがシンプルでいい雰囲気だなぁ

パリにある小さなお店みたい、中はどんななんだろう・・・と思いをめぐらす。

 

1分後、わたしは少し遠慮がちに、その美容室のドアをあけていた。

 

すみません、あの、そこの大きな車は、こちらのお客様のでしょうか?

 

背の高い、えんじ色のハンチングをおしゃれにかぶった美容師のお兄さんと

鏡の前でストレートの長くてきれいな髪を整えてもらっているかわいい女の子が

こちらに振り向いた。

 

はい、そうですよ?

きょとんとした顔で、美容師のお兄さんが答える。

 

あ、あの、猫が、子猫が今、

車の下からボディの中の方へ入ってしまったのを見てしまいまして。

それで、危ないので、あの、お車のところからその子猫を外に出そうと思うのですが。

いいでしょうか・・・?

 

あぁぁ、自分、あやしさ満点。

こんなおしゃれな美容室に、ぜんっぜん、似つかわしくない。

いつものようにTシャツと短パン姿で友達の家に行こうと「どこでもドア」を開いたら

どういう訳か、ドアの向こう側はシャンゼリゼ通り、

街角のおしゃれなカフェで

カフェオレとクロワッサンと会話を楽しんでいるパリジェンヌたちと

自分の姿のギャップに顔が赤くなる。

そんな気分。

 

いいですよ。

鏡の前に座ったきれいなストレートヘアの女の子が、やさしく口を開く。

 

すみません、と、わたしは赤くなった顔をかくすようにして頭を下げて

ダッシュで車の方へと戻った。

 

子猫は、みゃーみゃーと、母猫を呼ぶときの発声で

大きな車のボディの内側から、大きな声でないていた。

 

しゃがんで車の下をのぞきこみ、

子猫ちゃん、こっちこっち、と声をかけるけれども、なかなか出てこない。

ちらっと姿を見せても、おびえて出てこない。

 

ごはん作戦だな。

数十メートル先のコンビニへ走っていって、缶詰のキャットフードを買ってきた。

レジで「スプーンをつけてください」と言ったら

店員さんにとっても変な目でみられたけれど、

さっき、突然シャンゼリゼ通りに迷い込んだ

「場違いなTシャツ短パン女」の気分を味わったわたしには、

もう怖いものはない。

今は、なりふり構わずに子猫救出大作戦を遂行するのみ。

 

子猫は、さんざんおびえながらも、数分後にはキャットフードにつられ、

無事に外へ出てきたのだった。

 

両手にすっぽりとおさまってしまうほどに小さいキジトラの子猫は、

ずいぶんガリガリに痩せていた。

飼い猫ではない毛並みだったけれど、念のために美容室のお兄さんに

このままあずかりますので、子猫を探している方がたずねてきたら連絡をください

と言って名刺を渡して、わたしは子猫をスクーターのカゴにそっと入れた。

 

時速5kmほどのスピードで、大丈夫だよ~怖くないよ~と

カゴの中の小さな猫に声をかけながらスクーターをのろのろと走らせるわたしは、

道路交通法に違反はしていなかったはずだけど、

完全に交通の流れを乱していた、と思う。

 

家につれて帰った子猫は、人間には全くなついていなくて、

すぐに物かげへ隠れてしまう。

それでも、仕事から帰ると、ごはんのお皿は空っぽになっているし

トイレもちゃんと使ってあるから、ま、大丈夫かなと思っていたけれど、

わたしの頭の中は常に、その子のことでいっぱいだった。

仕事をしていても、半分、うわの空な日が続いた。

3日目。

その子は、とがっていた表情が突然、まんまるになり、

ゴロゴロヘロヘロに甘えてくるようになった。

みゃおみゃおと高い声でなきながら顔のまわりにすり寄ってくるその様子に、

わたしもゴロゴロヘロヘロになった。

 

美容室のお兄さんからは、いっこうに連絡がなかった。

数日後、わたしは勇気を出してもう一度、あのシャンゼリゼ通りへの扉を開けてみることにした。

 

つづく。

<やました>

 

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収納名人

2012-06-28 17:37:37 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

Eちゃんは、運動場のわきの道を機嫌よく自転車で走っていたときに

運動場から柵をとび越えてとんできたサッカーボールが頭にあたったことがある

という逸話をもつ親友。

その「ものすごい確率」に命中できる彼女のおもしろさが、わたしはとてもうらやましかった。

それは、Eちゃんが2回めの引越し先に越して、すぐの頃。

春の風が気持ちよく吹いていた。

 

その後、Eちゃんはまた引越しをして、

その数ヵ月後、真夏にさしかかる頃に大きなジュラルミンケースを転がしながら

わたしが住んでいた部屋へ引っ越してきた。

斯くして、Eちゃんとの楽しい同居がはじまった。

それ以前も時間があれば毎日のように遊んでいたくらいの仲だったから、

待ち合わせたり、お互いの帰り道を気にしたりする手間が省けて

おまけに、休みの前日には朝方近くまでばか話をくり広げ続けられたので

なんか、便利だったし、ちょうどよかった。

2人とも、まだひよっこのような若さだったから、毎日が修学旅行かお泊り会みたいで

それはすごく楽しい日々だった。

十数年以上も前のことなのに、今でも思い出すたびに「楽しかったなぁ」と

あの頃に浸ってしまう。

 

もともと旅なれていたEちゃんのジュラルミンケースは

まるで4次元ポケットのようで、その中からは、ほんとうにいろんなものが出てきた。

生活に必要な身の回りのもの(仕事に着ていくスーツや靴も含む)はもちろん

愛用の大きなブランケットまで入っていた。

一度、それを真似して試したことがあるけれど、

わたしのスーツケースにはとうてい入りきらなかったのだった。

 

Eちゃんはその大きなジュラルミンケースの高い収納性を最大限に活かせられるほど、

荷造りがうまくて、そして早かった。

Eちゃんがわたしの部屋へ引っ越してきてから数ヵ月後、

わたしたちは別の部屋へ引っ越しをすることにした。

朝からもたもたと荷造りをしているわたしの横で、

仕事を終えて帰ってきたEちゃんはさっさと荷物を片付けていく。

わたしはその手際のよさにおどろき、目をうばわれたついでに手が止まり、

ますます荷造りが遅くなった。

 

またもや斯くして、新居でのEちゃんとの楽しい同居がはじまった。

しかし、その数ヵ月後、季節が秋から冬へ変わろうとする頃に

Eちゃんはまた引越しをすることになる。

毎度のことながら、相棒のジュラルミンケースに手際よく荷物をつめていくその様は

荷造り名人、いや、収納大名人と呼んでも過言ではないほどに、ほんとうに見事だった。

今度のEちゃんの引越し先は、歩いて5~6分のところ。

なので、相も変わらず、わたしたちはお互いの部屋を行き来してよく遊んだ。

 

しばらくして、わたしは日本へ帰国することになる。

増えた荷物は思い出がつまったものばかりで、いつものように荷造りははかどらない。

収納大名人への道はまだまだ遠く、その道のりの厳しさにめげそうになり、わたしは泣いた。

 

帰国してまもなくした頃、

あの日涙をぼろぼろ流しながら別れを惜しみ見送ってくれたEちゃんから小包が届いた。

その小さな箱を開けた瞬間、中からふわっとなつかしい香りが漂ってきて

あまりのなつかしさに、あわてて箱のふたを閉じてしまった。

もう一度、そっと箱を開けてみると、そこには手紙と一緒にたくさんのお菓子が入っていた。

きれいに、効率よく詰め込まれた箱の中身をながめながら、

わたしはEちゃんのジュラルミンケースを思い出していた。

あらためて彼女の収納上手な才能におどろかされ、

そして小さな箱に、ぎゅうぎゅうにこめられた彼女のやさしさとおもしろさがうれしかった。

 

それから数年後、Eちゃんは結婚した。

そう、あの日の彼女の引越し先、「歩いて5~6分のところ」に住んでいた恋人と。

 

<やました>

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アナログ?デジタル??

2012-05-11 18:14:46 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

やました家の柱時計は、40年以上動いている。

少し重いネジを根気よく巻くと元気になる柱時計ですが、
元気になったついでに調子にのって
文字盤の下についている日付のカウントが普通に
「☆月32日」とか「☆月33日」とか表示されていく。
そのアナログさを、姪っ子たちは珍しそうにおもしろがっていた。

今は指一本、スイッチをぽちっと押せばなんでも起動できる時代だもんなーとしみじみ思ったりする。
アナログ万歳と思えど、デジタルが欠かせない生活。
そしてそのデジタルのおかげで、いろいろと便利になったものです。

今の朝ドラの時代風景をみていると、携帯電話のない不自由さに少しやきもきしたりする。
それは携帯電話を家に忘れてきた日のそわそわ感に似ている。


「便利」「携帯電話」というと思い出す漫才のネタをひとつ。
(たしか、ロケット団のネタだった、かな・・・。)

今は携帯電話ひとつでいろんなことができるんですよねー。
外出先から家のお風呂も沸かせちゃったりするらしいですよ。

へぇぇ、そうなんですか。すごいっすねぇ。

実はこの間、それをやっていた人がいたんですよ!
だから、どんな風にやるんだろうって見てたんですけどね。

えっ、どんな風にやってたんですか?

うん、こうして携帯電話を耳にあててね、
「あ、もしもし、お母さん?お風呂沸かしといてくれる?」って。

 

<やました>

 

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おきゅうのたんきゅう

2012-05-09 15:51:54 | やましたの気まぐれエッセイ~時々、更新。

どうも、やましたです。

肩をおしてみると、がっちんがちん。

ここまで肩がこると、衝動的に外科的なことを施してみたくなります。

整体とか、鍼とか。

しかしながら、「通う」となると、それもなんだかめんどくさいので

自分でもできそうな“お灸”をやってみることにした。

じわじわと伝わってくる熱にあぶりだされた肩の疲労物質が

うわぁぁぁ~と泣きながら、もくもくと立ちのぼる煙と共に

天高く昇っていく様子を妄想し、わくわくする。

 

とはいったものの、そもそもお灸ってどこで売っているのかを知らない。

街のドラッグストア?

お灸についてのあまりの知識のなさが急に恥ずかしくなり、

図書館へと足をはこぶ。

 

お灸といえば、東洋医学。

目に見えぬ気をあやつり、陰と陽のバランス、自然科学に基づき

人体を宇宙の一部として捉える、奥深きもの。(←やました的・勝手な解釈)

ただの衝動的な思いつきではじめてしまっては、なんだか恐れ多い世界、のような気がする。

図書館へ行く途中、急に空模様があやしくなり、やがて大粒の雨が降りだし、どしゃ降りとなった。

自分のあさはかさを戒められたようで、ちょっと怖気づく。

 

雨をくぐりぬけて図書館にたどりつき、足早に「健康・医学」のコーナーへ向かうと、

すぐに『楽しくて、気持ちいい!おうちでお灸』という、いかにも全くの初心者

わたしのようなお灸の購入場所さえ知らないひとにも

わかりやすい写真とイラストでやさしくていねいにお灸のいろはを教えてくれそうな本をみつけた。

どこかの博物館にあるという、人体模型の写真が載っている。

ツボや経絡、気の通り道などが、これでもか!というくらい頭からつま先まで

体中にぎゅうぎゅうにかきこまれていてちょっときもちわるいけど、

本物を見に行ってみたい・・・とも、ちょっとだけ思った。

 

-せんねん灸-

ほほぅ。

「初心者はこれから始めよう。台座灸」のページに紹介されていた商品の例をみて

遠い記憶がよみがえる。

子供のころ、コマーシャルでよく聞いた名前。

そうかー、せんねん灸ってお灸だよな、「灸」っていうくらいだもんな。

と合点したが、なぜか頭の中では

『お線香の毎日香』 のCMキャラクターである“さだきち”が微笑んでいた。

 

ちなみに、お灸の本によると、江戸時代にヨーロッパへ伝わった「お灸」は

向こうでは『moxa』(モグサ)と呼ばれているとのこと。

ふぅん、『OQ』(オキュー)じゃないのかー・・・。

 

そして、お灸の探求はつづく。

<やました> 

 

 

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