今回からは中国とのビジネスの現場で、「こんな言い方をしてはいけない」、「こう言いたくなったら、ちょっと待って!」という≪禁止フレーズ≫を取り上げていきます。
「そんなこともわからないのか」、「言わなくてもわかるだろう」、「そんなことはあたりまえだろう」、「気が利かないな」などなど。言葉にしないまでも、ついついそう思ってしまうこともあるはず。中国人を日本人と同じような見方で接していると、ストレスが溜まることがたくさんあります。
しかし、基本的に彼らは日本人とは違った「考え方」や「価値観」を持っています。「異文化理解」が必要です。「気が利かない」、「そんなことはあたりまえ」と考える前に、「あたりまえ」が「あたりまえ」ではないこと、異文化理解が必要なことを前提に考えて見るべきです。
「以心伝心」という言葉があります。言いたいことや考えていることをひとつひとつ言葉にしなくてもお互いの気持ちを理解し合えることです。相手が何を考えているか、相手の気持ちを思い量り、悟り、コミュニケーションを進めることができることです。
言葉にしなくても理解し合おうとする気持ちが働くのが日本流のコミュニケーションです。「阿吽の呼吸」、「KY」(空気を読む)といった言葉からも日本人のコミュニケーションスタイルを見ることができます。
しかし、中国人とやり取りをするときは「以心伝心」には限界があります。いや、むしろ「以心伝心」を期待することは「危険」と心得ておくべきでしょう。
中国人の部下や取引先とのビジネスのなかで、「そこまでは言わなくてもわかるだろう」とか、「いちいち言わないとわからないのか」、「まったく気の利かないな」という思いを持つことがしばしばありあす。
しかし、中国人には「言わない」ことはわかってもらえません。「言わない」から「伝わらない」のです。 しかし、これは「言えば伝わる」わけです。やって欲しいことは努力を惜しまず「はっきり伝える」ことが大切です。言えばわかることをきちんと伝えれば、言ったことを言った通りに忠実にやってくれるのが中国人です。
日本側で「わかっているはず」、「知っていてあたりまえ」、「わかってくれるだろう」という期待感を持つことのほうが危険です。実は、あたりまえのことであるが、やって欲しいことは「しっかり伝える」ことがコミュニケーションの基本であり、「伝わったことは忠実にやってくれる」のが中国人です。
やって欲しいことをしっかり伝えることが大切。まずは日本側の「相手に伝える姿勢」から再確認したいところです。
「言わなくてもわかるだろう」、「そんなことはあたりまえだろう」といった言葉は「禁止フレーズ」と心得ておきたいものです。繰り返しになるが「言わないからわからない」のであって、「言えばわかる」、的確な指示を出して説明すれば期待通りの結果を出してくれるはずです。
「わかっているはず」に期待しないこと。「言ったつもり」をなくすこと。こうした注意点がコミュニケーションを円滑に進める第一歩です。次回も中国ビジネスにおける「禁止フレーズ」をシリーズで取り上げます。ご期待ください。
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