マス向けじゃないけど、ハマる人には超ハマる。
6月に発売開始されたソニーのスマホ、Xperia 1。低迷するモバイル事業を盛り返すべく、他事業部からあらゆるノウハウが詰め込まれた新作になっています。今回は、米GizmodoのSam Rutherfordのレビューを紹介します。
2019年に登場したスマホのラインナップを見ていると、どうやら今年はフチなしディスプレイや折りたたみ式スマホ、ディスプレイ内蔵型の指紋リーダーなどなど、パッと目を引く嗜好を凝らした機能がトレンドの様子。
ですが、ソニーのXperia 1には、こうした機能は1つもついていません。フチも広いし、21:9のディスプレイはかさばるし、本体右側面にはボタンやらセンサーがずらっと並んでるし…。なんかひょろっとして、思春期の若者みたいにちょっとバランスが悪い感じ。見た目もイマイチで、「万人に愛される人気者」にはなれなさそう。
いや、でも、このまま2019年でもっとも過小評価されるスマートフォンになってしまうには、ちょっと惜しい感じ。ほんとは、結構いいとこあるんですよ。
ここ数年、ソニーの携帯電話が苦戦を強いられていることは皆さんご存知のとおりです。2018年第2四半期には、スマホ事業を手がけるソニーモバイルの赤字がプレイステーション部門の黒字を上回る、という深刻な事態に。
この状況を打破すべく、ソニーモバイルは力を尽くしてきました。どん底から抜け出す唯一の方法は、これまでのやりかたをぶち破る、大変革を起こすことだったんです。
2018年春、新社長に就任した岸田氏のもと、同社は設計プロセス全体を刷新。これまでの社内生産体制を見直して、テレビやミラーレスカメラ事業を担うハードウェア部門と協力。Xperia 1(とその兄弟製品のXperia 10)を大きく飛躍させようと頑張ったんです。その結果、スマホ改革成功、したわけなんです。ある意味では。
テレビの技術を使って開発されたのが、世界初の4K有機ELシネマワイドディスプレイ。外出先でNetflixなどの高画質ストリーミング動画を楽しみたい人には、かなり垂涎もの。このディスプレイ、本当にきれいです。画面サイズは縦横比21:9で、画面の上下はトリミングされないし、レターボックスもありませんから、映画館と同じ画面比で大ヒット映画を見ることができます。逆に、YouTubeなんかでは16:9や18:9のコンテンツが多いので、そういう動画を見るときは左端か右端が真っ黒になっちゃいます。あちらを立てれば、こちらが…です。
ディスプレイが大きい分、その縁に設置されたのがサイドセンスという名のタッチセンサー。電話の側面(左右どっちでもOK)をダブルタップすれば、通知とかバッテリーモード、マルチウィンドウなど、よく使うアプリやショートカットを開くことができます。確かに便利なんですが、問題が1つ。手探りでセンサーを探し当てるのがむずかしい…。指が慣れるには時間がかかりそう。実は私もいまだに、サイドセンスメニュを一発ではなかなか開けません…。