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超軽量モバイルノートがさらに強化。新LG gramはThunderbolt 3でプロ級の拡張性

2018-11-01 14:47:22 | 電池

2018年も10月に入り、そろそろ早くも年末の準備に入る時期。本紙読者には、冬のボーナスでPCを新調しようという方も多いのではないだろうか。

なかでも、今期はモバイルPCの「当たり年」ゆえ買い替えを狙っている......という方に注目してほしい機種が、LGエレクトロニクスの『LG gram』(エルジー・グラム)シリーズ。

モバイルPCに求められる軽さと高性能、堅牢性を備えたうえコストパフォーマンスも高く、さらには軽量モバイルPCでは珍しいメモリとストレージのアップグレードサービスなどから、ライトユーザーからヘビーなモバイルPCユーザーまで幅広い支持を受け、日本でも人気上昇中のモデルだ。

この9月には、15.6インチと13.3インチモデルに最上位機種が追加された。既存機種に対する大きな改良点は3つ。拡張端子に、現在注目の高速規格『Thunderbolt 3』(サンダーボルト・スリー)端子を搭載した点、指紋認証に対応した点、さらに15.6インチモデルでは画面がタッチ対応になった点だ。




これらの強化によって、拡張性や使い勝手が大幅に向上。従来モデルが高いバランスで満たしていた基本性能やコストパフォーマンスの高さをそのままに、弱点となる箇所を強化した仕上がりとなっているのだ。

今回は15.6インチ液晶モデルながら1.105kgと軽い『15Z980-HA7TJ』を例に、さらなるパワーアップを遂げたLG gramの魅力に迫ってみたい。

Thunderbolt 3で超軽量モバイルPCもワークステーション級の拡張性


▲ステッカーとして貼られた、通称"稲妻マーク"がThunderbolt 3対応の証だ


今回加わった最上位モデルでの最注目は、なんといってもThunderbolt 3端子の搭載だろう。これまでのモデルでは不可能だった超高解像度ディスプレイの接続や、グラフィックス機能の高速化といった、ワークステーション(業務用の高性能PC)並の機能拡張が可能になるからだ。

このThunderbolt 3(以下、TB3)は、USBタイプCと同じ形状の端子を使いつつ、より高速な通信を可能とする規格。さらにUSBタイプCとの互換性を持つため、実質的な上位規格となっている。

速度は最高で40Gbps。一般に普及したUSB 3.0の8倍、USBで現状最速のUSB 3.1 Gen2と比較しても実に4倍もの速度が出せる。これは1秒間に5ギガバイトものデータを通信できる速度であり、USBでは実現不可能な速度だ。

この速度を活かし、Thunderbolt 3対応の周辺機器では、USBタイプCでは実現できない高い性能が実現できるのがメリット。

たとえばLGエレクトロニクスのTB3接続ディスプレイには、5120 x 2160解像度を60Hzのリフレッシュレートで表示可能な『34WK95U-W』という新製品があるが、この解像度をケーブル1本で表示できるのはTB3接続ならでは。

USBタイプC接続でも4K解像度、つまり3840×2160/60Hzまでの製品は用意されているが、現状ではそれ以上の高解像度は実現できない。TB3は言わば、5K解像度でも実用的に使える端子とも呼べるわけだ。

さらにTB3は、USBタイプCの特徴である100Wまでの電源供給仕様(USB PD)などにも対応するため、ディスプレイ側さえ能力があれば、ケーブル1本のみでLG gramの電源や充電までもカバーできる。




▲4Kや5Kの高解像度ディスプレイを使う際にも、LG gram側はケーブル1本だけ。この気軽さが気持ちよい


今回は同社製のUSBタイプC対応4Kディスプレイ『32UD99-W』を使い、本体とのデュアルディスプレイ環境をセットアップしてみたが、電源を含めてケーブル1本だけで接続が完了するのは本当に便利。

外出の際にもケーブル1本だけを外せばOKという気軽さは、大画面ながら軽量なLG gramにはぴったりだ。この気軽さと便利さはぜひ体験してみてほしい。

なおLGエレクトロニクスは『34WK95U-W』以外にも、Thunderbolt3対応の新製品として、32型4K対応の『32UL950-W』を発表した。ディスプレイのディジーチェーン(数珠つなぎ)接続にも対応するため、4Kディスプレイ「2台」とPC本体の電源供給を、1本のケーブルだけまかなえる。ぜひこちらもチェックしてほしい。



▲端子としてはUSBタイプCを兼用。実はTB3の搭載で、USBとしても高速化されている(後述)

またサードパーティー製のTB3対応機器として大きく注目されているのが「外付けGPUボックス」と呼ばれるジャンルの機器だ。これはグラフィックス処理を担当する半導体「GPU」をTB3経由で接続するためのユニット。

本体を薄型化し、消費電力を下げたいモバイルPCでは発熱などの関係から、GPUの性能は抑えざるを得ないが、こうしたGPUボックスがあればグラフィックス性能を大きく伸ばせるというわけだ。

高速なグラフィックスといえばPCゲームが思い浮かぶが、最近では3Dグラフィックス制作やビデオ編集といった用途でも、高い性能が求められるようになっている。そのためワークステーションでは、ゲーム用PC並に高性能なGPUを搭載することが多い。

しかし新しいLG gramはTB3を搭載したことで、デスクトップPCや大型のゲーミングノートが必要だった用途もカバーできるだけの可能性を備えた。屋外で使いたい場合は本体だけを持っていくことで、従来通り超軽量モバイルノートとしても使えるというわけだ。




▲Thunderbolt搭載機の証、専用ユーティリティも、もちろんプリインストール。機器側のディジーチェーン接続制限を外す設定もここから行える


さて、Thunderbolt 3が備えるもう一つの特徴は、機器を数珠つなぎで接続する「ディジーチェーン接続」に対応する点。

例えば「本体から外付けSSDへ接続し、さらにディスプレイへ」といった具合に、数珠つなぎに接続ケーブル1本で複数の機器を接続できるようになる。1つの端子からハブを介さなくても複数の機器が接続できるため、接続パターンがシンプルになるのだ。

ただしこの接続法は、TB3対応機器側が2つのTB3端子を搭載していなければならない。しかし、ディジーチェーン接続はTB3のメリットでもあるため、多くの機器はコレに対応している。

TB3端子の搭載は、こうした「いいとこ取りの欲張りな運用」を可能にするわけだ。

TB3機器を使わなくてもメリットが?
USBとしての速度も2倍にアップ

▲2018年モデルから採用された、付属ユーティリティによるUSB-C充電機能の設定(USBタイプCで接続した機器に対して、LG gramから電源を出力するか入力するかを明示できる)も継承。他のタイプC搭載PCではまれに発生する「モバイルバッテリーからPCの電源を取りたいはずが、残容量の関係でPCからバッテリーを充電してしまう」といったトラブルを防げる便利機能だ


先述したように、TB3はUSBタイプCの機能も兼ねている。実は新LG gramの場合、USBとしてもパワーアップを果たしているという、隠れた、しかし将来的に重要なメリットがある。

それはUSBタイプCとして使った場合の速度が大幅に上がった点。従来モデルでは、USBの最高速度は5Gbps(約1.25ギガバイト/秒)だった。しかし本機では、TB3のコントローラーチップを搭載したことで、USBタイプCとしても10Gbps(約2.5ギガバイト/秒)と、2倍の速度になったのである。

TB3には及ばないが、USBタイプCの機器も高速なSSDなど、5Gbpsでは速度を活かせないものが登場しつつある。そしてUSBは普及しているだけに、今後もこうした速度を要求する機器は増加するはず。今後を見据えるならば、タイプCとしての速度も速いに越したことはないのである。

このように新型LG gramのTB3端子は、TB3対応機器を使わない場合でも、業務用PCとしてのメリットを備えたものとなっている。

さらに何度か繰り返したように、従来モデルが持つUSBタイプCとしての機能――USB PD対応ACアダプタやモバイルバッテリーからの電源入力やスマートフォンなどへの電源出力、DisplayPort映像出力としての使用――などもそのまま引き継ぐ、多彩な端子となっているのだ。

モバイルPCだからこそ便利な指紋認証機能をついに搭載



もちろん、新型LG gramの特徴はこれだけではない。特に見逃せないのが、指紋認証に対応した点だ。実は従来モデルを「イマドキのモバイルPC」として見た場合、数少ない弱点だったのが、生体認証に対応していなかったこと。

スマートフォンで指紋認証や顔認証が当たり前となった昨今では、PCでもログイン時にパスワードを入力するというのはもはや面倒なもの。とくに持ち歩くモバイルPCにあっては、セキュリティ向上の意味合いから、デスクトップPCに比べて画面ロックと解除の頻度も多くなる。

長いパスワードの代わりに指紋を読み取らせるだけでロックを解除でき、さらにセキュリティ面もキープできる指紋認証は、軽量なモバイルPCにこそ必要性の高い機能でもあるわけだ。



さて、LG gramの指紋リーダーは、電源ボタンを兼ねる設計。電源をオンにしていれば、そのまま指を置いているだけでWindowsのログオンまでが完了する、便利なタイプだ。もちろん、Windows Hello対応。

実際の操作も、指をスライドさせたりといった作業も不要で、また感度も良好と、スマートフォン感覚。実際に今回は2週間ほどじっくり使ってみたが、すべてスムーズに認識し、速度も高速だった。



そしてタッチパネル対応も重要な強化点だ。とくに15.6インチと大きな画面では細かい箇所のタッチもしやすくなるため、操作性は良好。そもそもの感度も良好なため誤タッチとは無縁で、快適に使える仕上がりだった。

シリーズ共通の大きな魅力
「軽量、薄型、長時間駆動」はそのまま




その上で注目したいのが、これだけ機能が強化されても、重量などの増加がほとんどない点。重量は1.105kgと、従来モデルの1.095kgに比べて10gほどしか重くなっていない。また他社の15インチ級ノートPCの多くでは、1.5kgから2.0kgほどが水準なので、それらと比べると圧倒的、と言っていい軽さだ。

加えて本体サイズは従来モデルそのまま。液晶面の左右額縁を狭めたナローベゼル設計により、357.6×228.4×16.8(幅×奥行き×厚さ)と、15.6インチモデルとは思えないほどコンパクト、薄型となっている。

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▲キーボードはテンキー付きタイプだが、本体がコンパクトなこともあり、女性の手でも大きくはない。本体の軽さも手伝い、むしろ女性にこそおすすめしたいほどだ


さらに、LG gramシリーズの特徴である長時間バッテリー駆動もしっかりと継承。公称では「最大19時間」だが、実測値でもなんと約14.5時間(52231秒)も動作した。これは海人氏制作のバッテリー駆動時間測定アプリ「BBench」を使い、画面の輝度を50%に設定した状態で、Wi-Fi接続でWebサイトを連続表示し続けたもの。
つまり12時間以上の連続したWebブラウジングがバッテリーで可能となるわけで、駆動時間は十分といえるだろう。

他の基本性能に関しても最上位モデルだけあり高い。まず液晶はフルHD(1920×1080)解像度の液晶、色域(色を表現できる範囲)も「sRGB」96%をカバー。鮮やかな赤や緑などは、テレビでも人気上昇中のLGらしい深みだ。

持ち運ぶ際に重要な耐久性に関しても、既存のシリーズを受けつぎ、米国国防総省の物資調達規格「MIL-STD-810G」に準拠したテストの7項目をクリア。


▲公式サイトで紹介されているテスト内容(*左下の運送時落下は梱包時の落下テストによるもの)。これだけの厳しいテストをパスしている


これは、衝撃や細かな振動など、モバイルノートPCでは日常的に受けるであろう負荷を想定したテストをはじめ、砂塵の中や低圧力状態、高温や低温環境下といった厳しい環境でのテストや塩水を噴霧してのテストなど、非常に厳しいもの。

モバイルノートは持ち出してこそ威力を発揮するものだが、それゆえに不意の事故に対する耐久性は重要。本機はこの点でも安心できるというわけだ。

Core i7-8550UにRAM 16GB
SSD 512GBなど、基本性能も充実



▲CPUの速度を3Dグラフィックスで測る『CINEBENCH R15』では、スコア490という値を記録。モバイルノートPCとしては非常に高い記録だ

さらにCPUには、モバイルノートPC用として最新のインテル Core i7-8550Uを搭載。第8世代Core iシリーズに属するこのCPUは、第7世代の2倍となる4基のCPUコア(処理ユニット数)を搭載。実処理能力における性能を大きく伸ばしている。

こうしたCPU性能の向上は、Thunderbolt外付けGPUを接続した状態などでとくに大きく効いてくる。この点でも本機は、モバイルノートながらCGや動画編集、ゲームなどにも使えるモデルとして仕上がっているといえる。



▲同じくCPU性能を測るテストプログラム『GeekBench 4.3.0』では、1コア時スコア「4640」、全コア時「12245」を記録。こちらも非常に優秀


さらにRAMは16GB、ストレージは512GB SSD(シリアルATA 6Gbps接続)と、こちらの地力も十分。本機はLG gramシリーズならではの、SSDやRAM容量を増やしてくれるアップグレードが受けられるが、現状での最高スペックのためほぼ必要ないと言えるほどだ。

シンプルでクセのない本体デザインや、屋外でも目立たないカラーリングとなる「ダークシルバー」といった外観デザインも、実際に使ったユーザーからの評価が高いところ。こうした点もしっかりと継承している。


▲本体カラーはダークシルバー。天板は梨地的な凹凸が付いており、持ちやすい


そして、LG gramの人気の秘密でもある、コストパフォーマンスの高さもさらにアップ。今回紹介した15.6インチモデルの想定価格は22万550円だが、実は20万円台前半でこれだけの基本性能が充実したモバイルノートは数少ない。

ライバル機の多くはストレージかRAMが半分になるか、3~5万円ほど高価になるはずなので、ぜひ比較してみてほしい。

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