あっけないほど簡単に連携。通知は簡易
日本市場への参入を正式発表した中国Xiaomi (小米、シャオミ)のスマートリストバンド、Mi Smart Band 4 を iPhone で試してみました。
活動量計としては、常時計測できる心拍数や、Apple Watch が対応しない睡眠分析を含め、アップルの「ヘルスケア」アプリとデータを同期してあっけないほど普通に使えます。
4からはディスプレイが広く解像度も高いフルカラー有機ELになり、スマホ通知の表示などスマートウォッチ的な使いかたも広がりました。
ここではXiaomi からお借りしたスマートバンド4を数日間、主用途のワークアウト計測よりも、スマートウォッチ的な使いかたがどこまでできるかを試したインプレをお伝えします。
Mi Smart Band 4 とは
まずは基本のおさらいから。6月の海外発売時から追っている、並行輸入品を買うか綿密にリサーチしていた、というかたは読み飛ばしてください。
シャオミのウェアラブル「Miスマートバンド4」3490円で発売
Mi スマートバンド4 は、中国Xiaomi (シャオミ、小米)が販売する安価なリストバンド型デバイス。小米は世界第四位のスマートフォンメーカーであり、現代的な機能を備えつつ価格を抑えた生活家電でも知られるメーカーです。
スマートバンドはスマホと連携できる活動量計シリーズ。スマートウォッチが多機能やファッション性、大画面などを売りにする一方、スマートバンドは活動量計を主に、コスパに優れた価格とシンプルな機能、長時間の着用が負担にならない軽さ、一度の充電で最長約20日使える低消費電力などが人気を集めてきました。
最新世代の Mi スマートバンド4では、有機ELディスプレイの表示面積が約4割広くなり、単色80 x 128ピクセルからフルカラー120 x 240 に大きく進歩。
表示できる情報量が増えたことで、LINEの着信などスマホの通知を表示する機能、音楽再生リモコン機能など、スマホ連携デバイスとしての用途も拡大しました。
本来の活動量計としての性能も、3軸ジャイロセンサを追加した6軸モーションセンサの搭載により、幅広いアクティビティを従来モデルより高い精度で計測できるようになっています。
Mi スマートバンドでできること
・時計表示・各種ステータス表示
50種以上のカラフルな文字盤から選択できます。時計や日付の表示に最適化したもの、キャラクターコラボのグラフィック優先系、活動量計としてのステータス表示を含め情報量を重視したものなど。
手持ちの画像をスマートフォンから転送して、何タイプかの時刻表示やステータス表示と組み合わせてカスタム文字盤も作成できます。
常時表示には対応せず、静電容量式のボタンを触るか、「手首を持ち上げて情報を表示」オプションで点灯させる必要があります。
・アクティビティ計測
Mi Fit アプリをインストールして、スマートバンド4をペアリングすれば、iOS の「ヘルスケア」アプリと連携してデータを記録できます。
計測できるワークアウトはウォーキング、アウトドアランニング、トレッドミル、サイクリング、スイミング、エクササイズ。歩数、距離、消費カロリー記録できます。目標設定と達成通知など、シンプルな活動量計としての機能はひととおり対応。
・ヘルスケア計測
心拍数は24時間、1分から30分まで設定したインターバルで計測可能。動き検出をもとにした睡眠計測にも対応します。
睡眠はオプションで「睡眠アシスタント」を有効にすることで、深い・浅い眠りや中途覚醒を含めより正確に計測できるようになります。
・スマホ通知
スマートフォンに届いた通知を転送して手首で確認する機能。LINE や Twitter など、メッセージングアプリは内容の冒頭も読めます。
そのほか、
・スマホを鳴らして探す
・座りすぎ警告
・アラームやストップウォッチ(スマホ連携なしでも使える)
・音楽リモコン
・天気予報
・心拍数アラート(過去10分に運動していないのに高心拍数を記録した場合の警告)
活動量計として
国内では正式発売前のMiスマートバンド4を小米からお借りして、数日の短時間ながら iPhone との併用で試してみました。ここからは使ってみたインプレや気づいた点をメインに羅列します。
着けっぱなしではあったものの、位置情報ゲームのためのウォーキング以外まともなワークアウトができていないため、ちゃんとしたエクササイズでの計測は他に譲ります。
・歩数・消費カロリー計測
最近ではスマホ単体でも高精度に測れるようになりましたが、ウォーキングは問題なく正確に計測してくれます。
いい加減な活動量計のように、キーボードを打鍵する動きを歩行と勘違いして、一日中机の前にいたのに歩いていることになった、といったこともありません。
個人的には普段 iPhone を持ち歩くか、Apple Watch は着けていますが、ウォッチは充電のために外す必要があり、そのまま着け忘れることもよくあります。
(ウォッチ用のバッテリーを持ち歩いてどこでも再充電可能にしてはいますが、移動中に充電しながら計測はもちろんできず、満充電になっても即装着するとは限りません。)。
Mi スマートバンドは着けていることを意識しなくなるほど軽い装着感と、週単位に一度しか充電の必要がない長時間駆動で着けっぱなしにできるため、iOSヘルスケアアプリでたまに発生していた「空白の時間帯」が消え、より正確に測れるようになりました。
・睡眠計測
個人的に一番期待していたのが、 Apple Watch の標準機能では(まだ)用意されていない睡眠計測。より精度が高くなるという「睡眠アシスタント」と、心拍数の常時計測を両方オンにして数日、睡眠時間が「浅い眠り・深い眠り」の区別も含めて着々と計測できています。
週末をまたいで特に不健康な夜ふかしや昼寝をしていた数日間でしたが、時間については概ね正しく計測できています。
手首の動きで点灯オプションを有効にしていると、横になって寝返りをうつ程度でも点灯することがあり、睡眠中もおなじならば眠りが途切れたとして認識されるのでは?と不安になりましたが、睡眠判定のアルゴリズムとはまた別なのか、自覚と食い違った小刻みな中途覚醒が記録されることもありません。
・心拍数
常時計測はインターバル1分から30分が設定できるところ、とりあえず10分に設定。これまでApple Watch の同じ機能で記録してきた週単位の計測結果と比較するかぎり、同等程度に正確には計測できているようです。
Miスマートバンドでは睡眠中も含めて常時計測ができるため、Apple Watchユーザーでもバイタル計測用として併用しておかしくありません。(反対の手首につけるとか)
スマホ連携ウェアラブルとして
iPhone 専用の Apple Watch 、Android OS と Android Wear のようなOS / アプリとの密接な連携こそないものの、「時刻や日時・活動量の表示」「スマホの通知表示」「振動アラーム」といったベーシックな機能に限れば、価格性能比が極めて優秀なウェアラブル端末として運用できます。
・メインディスプレイ表示
Apple Watch Series 5以降のような、あるいは普通の時計のような常時表示には非対応。手首の動きを検出して点灯を設定できます。
バッテリー消耗を抑えるためか、手首の動き検出には感度が標準と敏感、反応する時間帯の設定も可能。終日・敏感で運用しましたが、バッテリー消費へのインパクトはさほど大きくない一方、認識の精度もあまり高くはなく、Series 4までの Apple Watch のように空振り(手首を回したり腕を曲げ伸ばししても無反応)がありました。
単なる時計としての運用は、いちいち手首を動かしたり、たまに空振りしたり、反応しても点灯までに一瞬遅れることのストレスをどの程度気にするか、によります。
バッテリーは公称どおり優秀
特筆すべきはやはりバッテリー駆動時間。試用が短期間だったのでベンチマーク的に有用な情報ではありませんが、
・「バッテリー駆動時間が大幅に短くなります」と警告される睡眠アシスタント+常時心拍記録(10分)オン
・輝度を抑えるナイトモード無効
・手首の動き検出自動点灯を常時、反応速度「敏感」と「標準」半々(二日目に切り替えた)
・アプリ通知オン、LINE やTwitter が一時間に数件〜。
・ワークアウトは一日5000歩〜1万歩程度のウォーキングのみ
の条件で4日間ほぼ常に装着して、まだ83%残っています。公称の「最長」20日間よりも大幅に短くなるはずの条件ですが、一週間以上は充電を気にせず運用できそうです。
常時着用でも気にならない装着感の軽さ
軽い活動量計を日常的に使わないApple Watch ユーザーとして印象に残ったりのは装着感の軽さ。本体が約22gしかないためか、意識しなければ着けていることを忘れる軽さです。
Apple Watch やスマートウォッチとの比較でいえば、軽さ以上にバンドの幅の狭さが、手首を動かしたときに干渉せず気にならないことにつながっているのかもしれません。
睡眠計測に対応したスマートウォッチもいくつか試しましたが、個人的に腕時計を着けて寝る習慣がなかったためか、やはり通常の腕時計サイズでは違和感がありました。Mi スマートバンドはほぼ忘れて着けっぱなしで気になりません。
とはいえバンドの合う・合わないは人により千差万別のため、Apple Watch スマートバンドのようなエラストマー樹脂製のバンドが気にならない人に限った話ではあります。
付属品バンドの長さ調整は一般的なベルト穴とピンを使うもの。無段階ではないものの、5mm幅で比較的細かく刻まれているため「きつくて気になる・緩くて気になるが隣り合わせ」パターンも比較的少なそうです。
微妙な点
「この価格にしては」を持ち出さずに、他のリストバンド型ウェアラブルやスマートウォッチと比較して気になった点を述べれば、
・視認性は高くない
ディスプレイエリアは前機種比では広く明るく、カラーになったものの、ほんの対角0.95インチ 120 x 240、輝度も最大でも400nit。屋内でも屋外でも、視認性が高いとはいえません。黒背景に大きな時計表示を選んでも、昼間の屋外や明るい室内では見づらい印象です。
また、手首の動き検出で点灯も、腕を真っすぐ伸ばした状態から「腕時計確認してる人のポーズ!」をとればほぼ点灯しますが、空振りしたあとに手首をくるくるしてもなかなか点灯しないことも。
キーボードの打鍵中や、何かを掴んでいるとき、つり革に捕まっているときなど、手首だけを回してもほぼ点灯せず。文字盤を垂直に、二軸で目の前に構えるような動きを意識すると点灯します。
さっと目をやって時刻確認という、普通の腕時計に可能な当たり前の機能はありません。
・通知は簡易的
通知ディスプレイとしてもあくまで簡易的なもので、LINEでスタンプが届いても「何かスタンプが届いた」ことしか分かりません。短文のかわりにスタンプの文化では結局スマホ確認が必要になります。
また、これは当然といえば当然ながら、返信もできません。
・音楽リモコンの実用性は微妙 (訂正)
音楽リモコンは本体機能として備えるものの、小さな画面を 何タップかスワイプをしないとアクセスできない階層にあり、すばやくアクセスできません。 スワイプしないと開けず、開いてから端末と接続するため「 お待ちください... お待ち」とスクロールする程度の微妙な待ちが挟まります。
訂正: 点灯させたホーム画面から、左右スワイプの一手で開けることを教えられました。両手は必要ですが、その他から潜るより大幅に早くアクセスできます。
曲名表示はあるものの、横幅が狭くスクロールしても見づらい上に、本体設定のまま最長でも秒単位で消灯するため読み取れないこともあります。アートワークももちろん確認できません。
音量調節も、狭い横幅の左右にある+/−を押す形式。小さな完全無線イヤホンには、AirPods など本体側で音量調節を備えないものもありますが、すばやく音量を変更したい場合、 Mi スマートバンドの音楽リモコン機能を使うか、スマホに手を伸ばしてブラインドで物理ボリュームキーを操作するかは微妙なところです。
価格性能比は超優秀。シンプルなスマホ連携もできる活動量計
Xiaomi は世界四位のスマートフォンメーカーとして、Androidを自前のUXにカスタマイズした「MIUI」を長らく提供してきました。
しかし Miスマートバンド4は、 もともとスマホアプリとの深い連携は備えないこともあって、iPhone でもあっけないほど普通に使えます。
本来の用途の活動量計としては、iOS側がスマートウォッチに限らず幅広いデバイスとデータを連携する HealthKit の仕組みを用意しているため、ほかの対応機器と同様に、何の問題もなくあっさりとデータを連携できます。
スマートバンドの設定には Mi Fit アプリが必要ですが、いちど連携してしまえば、 あとは Xiaomi のアプリに依存することもなく、ヘルスケアアプリを通じて他の iOS フィットネス系アプリが使用可能です。
活動量計以外の機能、スマホ連携ウェアラブルとしては、Apple Watch などスマートウォッチには機能でも視認性でも応答性でも遠く及ばないものの、通知確認や「スマホを探す」などベーシックな機能については額面通りに使えるレベル。特に国内価格3500円という価格性能比・機能比を考えれば、かつては考えられないほどの優秀な製品であることは間違いありません。
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