薬屋さんの勉強会

薬剤師の日々の勉強内容について紹介するブログ

新型コロナ(重症)✖️漢方薬

2020-05-14 14:23:00 | 医療


「総合COVID-19漢方薬」はどうコロナと闘うか


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 前回、漢方による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防、そして軽症者の重症化予防として、悪寒、胃腸の不調、倦怠感などがある場合に用いる漢方についてそれぞれ取り上げました。

今回は、重症化の徴候が見られた場合、コロナウイルスに対処するための「総合COVID-19漢方薬」について詳しく見ていきましょう。

重症化の徴候があれば=総合COVID-19漢方薬

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【患者さんの状態を病位(びょうい)で診断する】

 漢方では、病原体は身体の表面から入って、次第に身体の中心部に侵入すると考えます。細菌やウイルスが身体のどの部位に侵入しているかにより病位(ステージ分類)を診断します。

 通常の感染症では、
太陽病※1(身体の表面)→少陽病※2(身体の中間地点)→陽明病※3(身体の中心部)
と病期が進行していくと考えられていますが、新型インフルエンザやCOVID-19のような強力なウイルスは、体の表から裏に進んでいくスピードが速く、初期から一気に身体の中心部まで炎症を起こすと考えられています。時に強力なウイルスを排除しようとして、あまりにも強い炎症が急激に起こり、サイトカインストームが起こります。陽明病とは、酸素化が数時間以内に低下して急変するような状況です。

※1 太陽病(たいようびょう)
表裏:表
症状:頭痛、関節痛、悪寒、発熱
免疫系:Tリンパ球によるウイルス貪食
神経内分泌系:交感神経系亢進、ノルアドレナリン分泌
治療法:解表(げひょう:汗をかかせる)
漢方薬:麻黄剤

 樹状細胞は病原体の断片を見つけると、抗原提示能を発揮してナイーブT細胞に情報を伝えます。ナイーブT細胞はヘルパーT細胞に変化し、全身に警告信号を発します。これにより免疫システムが立ち上がり、病原体への総攻撃が始まります。ヘルパーT細胞から放出されるサイトカインにより指令を受けたキラーT細胞が、ウイルスに侵された細胞を丸ごと破壊します。マクロファージもヘルパーT細胞による刺激を受けて活性化し、キラーT細胞によって攻撃された細胞やウイルスを貪食します。

※2 少陽病(しょうようびょう)
表裏:半表半裏
症状:弛張熱(1日の中で、高熱と平熱が交互に表れる状態)、味覚障害、嗅覚障害、胃腸障害、咳が止まらない
免疫系:Bリンパ球による抗体産生
神経内分泌系:コルチゾール分泌
治療法:和解(身体のバランスを整える、過剰な炎症を抑える)
漢方薬:柴胡剤(小柴胡湯、柴陥湯)

 ヘルパーT細胞から放出されるサイトカインにより指令を受けたB細胞が、抗体を作ってウイルスに侵された細胞を攻撃します。病原体の侵入から数日経ってインターフェロンが作られ、ウイルスに侵された細胞を攻撃します。

※3 陽明病(ようめいびょう)
表裏:裏
症状:高熱、肺炎、便秘、意識混濁
免疫系:過剰な生体防御反応(サイトカインストーム)
神経・内分泌系:ストレス反応破綻
治療法:清熱、瀉下
漢方薬:清熱剤、承氣湯類(下剤)

表も裏もいっぺんにやられるCOVID-19

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上気道粘膜(半表半裏)にレセプターを有するインフルエンザと異なり、レセプター(アンジオテンシン変換酵素2[ACE2])が肺や腸(裏)に発現しているCOVID-19は症状に乏しく、気が付かないうちに重症化して治療時期を逸する可能性があります。気が付いた時には肺や腸でひどい炎症を起こしています(裏熱)ので、発熱を認めた時点で、麻黄湯や葛根湯では治療が追い付かなくなります。この場合、表も裏もいっぺんに治療する総合COVID-19漢方薬である柴葛解肌湯(さいかつげきとう)清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)が適応になります。

日本版総合COVID-19漢方薬:柴葛解肌湯(さいかつげきとう)

表から裏まで広くカバーする日本版総合COVID-19漢方薬
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)=葛根湯(かっこんとう)+小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)
もしくは

柴葛解肌湯=葛根湯(かっこんとう)小柴胡湯(しょうさいことう)+桔梗石膏(ききょうせっこう)
方意:温める麻黄剤+小柴胡湯+清熱剤

 柴葛解肌湯は、1918~1920年にスペイン風邪(インフルエンザ・パンデミック)が流行した際、初期から高熱を出す患者に処方して多くの人命を助けたと言われている漢方薬です。

 エキス剤では葛根湯(太陽病:かぜの初期の薬)、⼩柴胡湯(少陽病:かぜの亜急性期の薬)、桔梗⽯膏(陽明病:清熱剤)を組み合わせて一緒に服用します。

もしくは、葛根湯⼩柴胡湯加桔梗⽯膏(少陽病と陽明病にまたがった病態に有効な⽅剤)を組み合わせて一緒に服用するのもいいでしょう。

 柴葛解肌湯は初期から一気に身体の中まで炎症を起こすような強いウイルスに有効とされています。 

発熱の勢いが強く、麻黄湯や葛根湯では解熱しない場合、小柴胡湯加桔梗石膏を追加した柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が適応となります。

【柴葛解肌湯】
構成⽣薬:葛根(かっこん)・⿇⻩(まおう)・桂枝(けいし)・⽣姜(しょうきょう)・⼤棗(たいそう)・芍薬(しゃくやく)・⽢草(かんぞう)・柴胡(さいこ)・黄芩(おうごん)・人参(にんじん)・半夏(はんげ)・桔梗(ききょう)・石膏(せっこう)


麻黄と桂枝で身体を温めながら悪寒を改善し、葛根で頭痛、関節痛を改善する葛根湯(かっこんとう)と、

和解剤としての気道の炎症を取りながら、過剰な免疫反応を抑える効果と、清熱剤としての身体を冷やす効果がある小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)を合わせた構成生薬となります。


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日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬 アジスロマイシン水和物点眼液(商品名アジマイシン点眼液1%)

2020-02-12 22:08:00 | 医療


2019年9月に販売開始された、日本で唯一のマクロライド系抗菌点眼薬アジスロマイシン水和物点眼液(商品名アジマイシン点眼液1%)




結膜や眼瞼への良好な移行性・滞留性を認める

結膜炎

眼球を覆う結膜(まぶたと眼球の間の薄い膜)、

眼瞼炎

眼瞼(まぶた)に

生じる炎症で、

細菌性のものには抗菌薬で治療を行います。



今までは

抗菌スペクトルが広く、

眼内移行性も比較的高い

キノロン系抗菌点眼薬がよく使われてきました。

しかし、

キノロン系を使い続けることによる

耐性化が懸念されていました。


アジスロマイシン水和物点眼液は、

国内唯一のマクロライド系抗菌点眼薬として

登場しました。


作用機序

細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し

細菌のタンパク合成を阻害し

バイオフィルムが作られるのを抑制することで

抗菌作用を発揮します。


添加物

両親媒性の合成高分子化合物ポリカルボフィルが

配合されたDDS(ドラッグデリバリーシステム)製剤。

➡︎結膜、角膜、眼瞼への移行性が良く、

 滞留性も良好✨※ウサギでの実験で


効能・効果

<適応菌種>
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、コリネバクテリウム属、インフルエンザ菌、アクネ菌

<適応症>
・結膜炎
・眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎

用法・用量

<結膜炎>
通常、成人および7歳以上の小児には、

1回1滴、1日2回2日間

その後、1日1回5日間点眼する。

<眼瞼炎、麦粒腫、涙嚢炎>
通常、成人には、

1回1滴、1日2回2日間

その後、1日1回12日間点眼する。

最初の2日間を過ぎた後は、

既存薬に比べて少ない点眼回数で治療可能


使用上の注意、副作用

本剤は粘性がやや高いため、普通の点眼液に比べたら点眼しにくさがあります。
そのため、添付文書にも

「キャップをしたまま点眼容器を下に向け

数回振ってからキャップを開けて点眼すること」

と書かれているの。


主な副作用としては

眼刺激や眼掻痒症(頻度1~5%未満)、

重大な副作用としては

角膜潰瘍などの角膜障害、

ショックやアナフィラキシー(頻度不明)が

報告されています。


ショックやアナフィラキシーの徴候である紅斑、発疹、呼吸困難、血圧低下、眼瞼浮腫などにも注意しておきましょう。



医療でのROSとはなんの略?意味は?

2020-02-04 23:03:00 | 医療

ROSとは何か

 医療面接において,
患者の言い漏らしや
医師の聞き逃しは不可避ですが,
双方の盲点の1つに,
現病理解の鍵が潜んでいるかもしれません。

ROS
=review of systems
(systems reviewとも言う)とは,
主訴現病歴補完し,
病態理解を完成に導くことにより,
誤診と治療不全を系統的に回避する
臨床医学の知恵です。

すべての臓器系統について,
訴えや徴候の見落としがないかどうかを
漏れなく「おさらい」していくのです。

診療録上のROS記載は
常に完璧(thorough)でなければなりません。

施設によっては,
通常は既往歴に属すると考えられる項目も,
ROSに含めています。

所属機関のROS用紙をよく確認して,
自分なりの記憶術を確立してください。

新型肺炎に対するWHOの緊急事態宣言により「指定感染症」指定へ

2020-01-31 21:12:00 | 医療

日本政府は1月31日、
新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症を
感染症法上の「指定感染症」に
指定する政令について、

当初は2月7日としていた施行日を、

2月1日に前倒しする方針を閣議決定しました。


施行日の前倒しは、
WHOが2019-nCoV感染症について
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」(PHEIC)に
該当すると宣言したことを踏まえ
決定されました。

これにより、
2月1日から2019-nCoV感染症の
国内まん延を阻止するために、
強制入院就業制限
さらには入国者への検査指示などが
可能となります。

 政府は
「わが国に入国しようとする者が
感染症である場合は、入国を拒否する
感染者であることが確認できない場合でも
入国管理を強化するべく、
運用を速やかに検討する」
とのことです。

中国で新型コロナウイルスの感染者が出ました!!

2020-01-22 21:23:00 | 医療

新型肺炎、医療スタッフ15人が感染、1人重症
中国の武漢市保健委員会は
1月21日、武漢市内で
新型コロナウイルス(2019-nCoV)に感染した
医療スタッフ15人が確認されたと発表しました。
疑い例1人います。

16人のうち1人は重症で
他の患者は状態が安定しているそうです。

一連の新型コロナウイルス関連肺炎で、
医療スタッフの感染が確認されたのは初めてです。





患者は221人に、韓国でも1例

中国の武漢市で確認された
2019-nCoV関連肺炎の患者は、
1月19日24時時点で198人となりました。
うち44人が重症で、4人が死亡しました。

武漢以外でも、
1月20日時点での集計では、
北京で5人、
広東省で14人
患者が確認されています。

疑い例は、
四川で2人、
雲南省で1人、
上海で2人、
広西チワン自治区で1人、
山東省で1人でした

1月20日には韓国で1例が報告され、
海外で確認されたのは
タイの2例、
日本の1例と
合わせ計4例となりました。