「小田急F-Train」のラッピングが終了というニュースが昨日報じられました
ドラえもん電車、都条例に抵触で運行中止
(読売新聞:9月22日付)
小田急電鉄からも正式なリリースが出ています。
特別電車「小田急 F-Train」の車体ラッピングの終了について
(小田急電鉄株式会社:9月22日付・PDFファイル)
今日び全面広告ラッピング列車なんて珍しくもありません。何故この「小田急F-Train」だけがダメだったのでしょうか?
まずその前に、都条例で指定されている広告の面積については「東京都屋外広告物条例施工規則」で
車体の一の外面に表示する各広告物等の面積の合計が当該外面面積の十分の一以下であること。
これを大雑把に解釈して平たく言うと、
屋根・床下・隠れてしまう連結面を除く外面の1/10以下
と定めるのが東京都のルールということになります。
それでは本題。
全面ラッピング列車と言えば、今話題なのが京阪電鉄大津線で運転されている人気アニメ「けいおん!」ラッピング列車。アニメ以外でもJR北海道の特急型ディーゼルカーにJリーグ・コンサドーレ札幌を応援する全面ラッピングが施されたこともあります。
この手の広告条例というのは都道府県毎に定められているので、おそらく例に挙げたこの2つについては滋賀県、北海道それぞれのルールが単に東京都と違うというだけで問題なく運転されているのだと思います(面倒なので裏は取ってません、悪しからず)。
都内に目を移しましょう。都電荒川線ではどう見ても上に挙げた1/10以上の面積を占める広告をラッピングした電車が堂々と走っています。でも、これはOKなんです。
というのは、路面電車に関しては別枠のルールがあるのです。
同規則のなかで路面電車の場合は
車体底部を除く全表面積の十分の三以下
となっているのです。パッと見では3/10も超えてるように感じるかもしれませんが、ここにはちょっとしたカラクリがございます。「車体底部の除く全表面積」というのが曲者。パンタグラフやクーラー室外機など、運転に必要不可欠で広告設置が極めて難しい機器が並ぶ屋上も3/10の分母に含まれるので、実質上利用できる前面・側面の約4/10を広告として利用できる計算になります。
さらに実際には前面~運転台廻りにラッピングが施される例がほとんど無く、さらに広告として使用できない窓ガラスも「表面積」に含まれることを考慮すれば、現状の都電のラッピング広告の面積の辻褄は合うと思われます。東急世田谷線300形も窓の面積が広いので同様なのでしょう。
続いては東京のど真ん中をグルグル回る山手線。こちらでも2009年に明治製菓とのタイアップでチョコレート色の電車を運行しています。これなんか見るからに全面ラッピングで1/10どころの話じゃないように思われるかもしれません。
ただ、ここにも工夫が隠されているように思われます。
この列車は「山手線命名100周年」という名目で運転されています。鉄道会社が自社の電車を何色に塗ろうが、公序良俗の範囲内であれば自由です。JR東日本が節目の年を記念して山手線を茶色に塗り変えるのに誰の許しを得る必要はないわけです。そこに明治製菓が「たまたま」同じ色を基調とした広告物を1/10制限内の面積で出す分には何の問題もない、ということではないかと。この列車の画像をよく観察すれば、広告に当たる文字・図画の面積自体はそれほど広くないことが分かります。
さて、ここまではワタシにも想像の範囲内でした。
一つだけ中々理解できなかった事例があります。
2009年から西武池袋線系統で運転されている「銀河鉄道999」列車。コイツはどう見ても全面ラッピングで、山手線でワタシが推測したようなレトリックなんかとても通用しないデザインです。「999」がOKで「ドラえもん」がダメな理由を思いつくのは難しかったです。
強いて言えば、特定の商品の「広告に該当」するかどうかが違うと言えば違うのかなぁ?という気がします。小田急の方はミュージアムという具体的に広告するモノがあったのに対し、西武の方は特に何を広告するというハッキリとしたモノがなかった(漫画は連載中断中、アニメは映画・テレビともに放映中のものはなし、地域振興という目的はあったけど記念館のような関連施設はない)。でもちょっとグレーゾーンな気もします。
あとは小田急のリリースにもあった通り、事前申請がなかったのが決めてだったのかも。
条例の末尾の方を見ると、広告料に比べると少額ではあるものの、申請の際に手数料も東京都に支払わなければならないみたいです。その辺りの手続きをスッ飛ばしたのがマズかったのかもしれません。
以上ウダウダ長々と書きましたが、全て佐々木の推測です。
まぁ、関連条例を熟知すべき小田急の担当者が粗忽だった、としか言いようのない話なんですが。ただ、西武がOKで小田急がNGな理由は東京都の方からキチンと説明して欲しいなぁ。
ドラえもん電車、都条例に抵触で運行中止
(読売新聞:9月22日付)
小田急電鉄からも正式なリリースが出ています。
特別電車「小田急 F-Train」の車体ラッピングの終了について
(小田急電鉄株式会社:9月22日付・PDFファイル)
今日び全面広告ラッピング列車なんて珍しくもありません。何故この「小田急F-Train」だけがダメだったのでしょうか?
まずその前に、都条例で指定されている広告の面積については「東京都屋外広告物条例施工規則」で
車体の一の外面に表示する各広告物等の面積の合計が当該外面面積の十分の一以下であること。
これを大雑把に解釈して平たく言うと、
屋根・床下・隠れてしまう連結面を除く外面の1/10以下
と定めるのが東京都のルールということになります。
それでは本題。
全面ラッピング列車と言えば、今話題なのが京阪電鉄大津線で運転されている人気アニメ「けいおん!」ラッピング列車。アニメ以外でもJR北海道の特急型ディーゼルカーにJリーグ・コンサドーレ札幌を応援する全面ラッピングが施されたこともあります。
この手の広告条例というのは都道府県毎に定められているので、おそらく例に挙げたこの2つについては滋賀県、北海道それぞれのルールが単に東京都と違うというだけで問題なく運転されているのだと思います(面倒なので裏は取ってません、悪しからず)。
都内に目を移しましょう。都電荒川線ではどう見ても上に挙げた1/10以上の面積を占める広告をラッピングした電車が堂々と走っています。でも、これはOKなんです。
というのは、路面電車に関しては別枠のルールがあるのです。
同規則のなかで路面電車の場合は
車体底部を除く全表面積の十分の三以下
となっているのです。パッと見では3/10も超えてるように感じるかもしれませんが、ここにはちょっとしたカラクリがございます。「車体底部の除く全表面積」というのが曲者。パンタグラフやクーラー室外機など、運転に必要不可欠で広告設置が極めて難しい機器が並ぶ屋上も3/10の分母に含まれるので、実質上利用できる前面・側面の約4/10を広告として利用できる計算になります。
さらに実際には前面~運転台廻りにラッピングが施される例がほとんど無く、さらに広告として使用できない窓ガラスも「表面積」に含まれることを考慮すれば、現状の都電のラッピング広告の面積の辻褄は合うと思われます。東急世田谷線300形も窓の面積が広いので同様なのでしょう。
続いては東京のど真ん中をグルグル回る山手線。こちらでも2009年に明治製菓とのタイアップでチョコレート色の電車を運行しています。これなんか見るからに全面ラッピングで1/10どころの話じゃないように思われるかもしれません。
ただ、ここにも工夫が隠されているように思われます。
この列車は「山手線命名100周年」という名目で運転されています。鉄道会社が自社の電車を何色に塗ろうが、公序良俗の範囲内であれば自由です。JR東日本が節目の年を記念して山手線を茶色に塗り変えるのに誰の許しを得る必要はないわけです。そこに明治製菓が「たまたま」同じ色を基調とした広告物を1/10制限内の面積で出す分には何の問題もない、ということではないかと。この列車の画像をよく観察すれば、広告に当たる文字・図画の面積自体はそれほど広くないことが分かります。
さて、ここまではワタシにも想像の範囲内でした。
一つだけ中々理解できなかった事例があります。
2009年から西武池袋線系統で運転されている「銀河鉄道999」列車。コイツはどう見ても全面ラッピングで、山手線でワタシが推測したようなレトリックなんかとても通用しないデザインです。「999」がOKで「ドラえもん」がダメな理由を思いつくのは難しかったです。
強いて言えば、特定の商品の「広告に該当」するかどうかが違うと言えば違うのかなぁ?という気がします。小田急の方はミュージアムという具体的に広告するモノがあったのに対し、西武の方は特に何を広告するというハッキリとしたモノがなかった(漫画は連載中断中、アニメは映画・テレビともに放映中のものはなし、地域振興という目的はあったけど記念館のような関連施設はない)。でもちょっとグレーゾーンな気もします。
あとは小田急のリリースにもあった通り、事前申請がなかったのが決めてだったのかも。
条例の末尾の方を見ると、広告料に比べると少額ではあるものの、申請の際に手数料も東京都に支払わなければならないみたいです。その辺りの手続きをスッ飛ばしたのがマズかったのかもしれません。
以上ウダウダ長々と書きましたが、全て佐々木の推測です。
まぁ、関連条例を熟知すべき小田急の担当者が粗忽だった、としか言いようのない話なんですが。ただ、西武がOKで小田急がNGな理由は東京都の方からキチンと説明して欲しいなぁ。