小泉悠氏は「現代ロシアの軍事戦略」(2021.5)
で冷戦後、超大国の座から滑り落ちたロシアがなぜ大国であり続けているのか膨大な考察をしている。
ぼくには全編を熟読して理解するのは難しいが、最終章で日本がとるべき対露戦略について述べている部分は肝に銘じなければと思った。
........ロシアは日本が西側の国と見ており、プーチンと個人的関係を深めたところで歩み寄りは期待できない。
・対露関係は政経分離を基本とし、隣国としての経済、社会の交流を活発に進めるべき。
・それらの活動に、政治や安全保障をリンクさせて領土問題を解決しようという安倍政権の戦略は失敗。
・安倍政権が対露外交を活発化させればさせるほどロシアは高圧的になり、領土問題でゼロ回答を突きつけた。
・領土問題は4島返還を交渉対象とするスタンスにもどり、この主張を国際的に広く発信していく。
・ウクライナ問題などで欧米と連携し強い態度で臨み、西側の一員としての立場を固め直す。
・隣国として関係を過度に悪化させないようにするべきだが、過度の期待ももつべきでない....。
つまり安倍政権が領土問題を前進させるために2016年から進めた経済協力政策は失敗だったということだ。
今回のウクライナ新略をみたら、あんな国が北方領土を返還するわけがない。むしろ千島列島や北海道を侵略しかねない。日米安保条約がなかったら何をやってくるかわかったもんじゃない。
そう思うのはぼくだけではないだろう。
ユーリィ・イズムィコ