本と音楽とねこと

強迫神経症

 強迫的な観念にとりつかれ、ささいなことに執着し続けるビョーキが治らない。
 手や口腔を清潔に保つことへの執着、自宅玄関や研究室、クルマ等の施錠の反復確認は、いまでも続いている。
 今日は、研究室のパソコンの電源LEDが点灯しないことが気になって仕方がなかった。くだらないことに執着するのはやめたがいいのはわかっている。わかっていることをやめられないから、ビョーキなんだし、辛いんである。
 強迫神経症は鬱病を伴うことが多い。わたしもそのクチだ。セントジョーンズワートというサプリを飲んで何とかしのいでいるが、思考停止、発話不能状態にまで陥らないかという不安にかられることはしばしばある。
 ちなみに、某大手電機メーカーに勤める兄は、統合失調症で二度休職している。いまは復職しているが、また発症するかもしれない。
 それでも、兄の配偶者が、要介護状態にあるわたしの父を、兄がこうなったのもあまりに厳しくしつけしすぎたからだと電話でなじったのを聞いたときは、さすがにわたしも激怒した。
 たしかに、わたしの父は、人格異常者なのだろうと思う。そして、その異常者に共依存してしまった過剰に優しい母も。そうした父母に育てられた子どもが、神経症や精神疾患に苦しむことになるのは大いにあり得ることだ。
 でも、粗暴なだけに思えた父にも、凛とした正義感と優しさがあった。真綿で首を絞めるように、過剰な愛情で子どもをダメにしたかもしれない母でも、いったん突き放したら、さらに追いすがってくるようなこともなかった。
 仕方ないではないか。当人たちは自分がビョーキであることに無自覚なのだから。それに、ともに要介護状態にある父母を、いまになってなじるようなことをするのは、鬼畜の所業だとも思う。
 いまさら親を恨んでもせんなきことだ。ビョーキを飼い慣らしながら、毎日を明るく楽しく生きていけるよう、自分で心がけていくしかないのだろう。
 今度、実家に帰省するときも、両親には優しく接してあげたいと思う。

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