本書が、長きにわたって、版を重ねて読み継がれてきたことに驚くが、それだけ、現在の労働問題にも通用する、先見的で普遍的な内容であったのだろう。
「情意考課」も含めた「能力」の執拗な査定の果てに、「強制的な自発性」を植えつけられる労働者。ひたすら生産性の向上だけをめざすだけの従順な労働者を評価してきた日本企業、その労働生産性がOECD諸国中最下位レベルに落ち込んでいる事実をまえにして、暗澹たる気持ちになる。
「能力主義」で測られているものがなになのか、再考してみたいものである。
目次
序章 能力と賃金
本書のテーマ
能力評価と賃金システムのヴァラエティ
1章 日本企業の能力主義管理
能力主義管理の第一期
能力主義管理の第二期 ほか
2章 職場と労働はどう変わるか
個人間にひろがる賃金格差
高まる仕事量のハードル ほか
3章 能力主義管理をどうみるか
労働者意識の諸相
受容の背景 ほか
4章 能力主義管理とのつきあいかた
ゆとり・なかま・決定権
企業の枠を超える連帯 ほか
「能力主義管理」が声高に叫ばれ、また、リストラや賃金体系の変更、雇用の複線化など、新たな動きが活発化している。この状況をどう考えるべきなのか。現場に精通する労働問題研究の第一人者が、「日本的能力主義」の論理と実態、そして問題点を鋭く抉り出し、企業の動向や労働と職場の実情を検討しながら、あるべき労使関係を提言する。
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