モラハラは、恐喝、恫喝、威圧、職権濫用、心理的虐待、いじめ、あるいはたんにハラスメントと呼んだ方がわかりやすい。
イルゴイエンヌは、被害者、加害者のパーソナリティだけでなく、とくに職場のハラスメントについては、それを誘発しがちな組織や社会のありようにまで言及している。正しい判断だろう。
『モラル・ハラスメント』、『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』ともに、訳文がこなれていて、読みやすい。とくに後者は、フランスの企業や公的機関における数多くの事例を紹介しており、職場のハラスメントの内実がとてもよく理解でき、ハラスメントへの対応、対処の仕方について、おおいに参考になるだろう。
マリー=フランス・イルゴイエンヌ(高野優訳),1999,モラル・ハラスメント,紀伊國屋書店.(12.29.2020)
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言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力=モラル・ハラスメント。家庭や職場で日常的に行なわれる、この「見えない暴力」は、相手の精神状態をしだいに不安定なものにし、ひどい場合は自殺に追いこむという。いったいどんな人間がこのような暴力をふるうのか?いかなる方法がよく使われるのか?どのような性格の人が標的にされやすいのか?どうしてその関係から抜け出せないのか?経験豊富な精神科医がその実態を徹底解明。人間関係に悩むことの多い現代人にとって必読の書である。
マリー=フランス・イルゴイエンヌ(高野優訳),2003,モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする,紀伊國屋書店.(12.29.2020)
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言葉や態度によって相手の心を傷つける精神的な暴力=モラル・ハラスメント。この「見えない暴力」が職場において日常的に行われれば、逃げ場を失った被害者が深刻なダメージを受けるのはもちろんのこと、会社組織自体も多大な損失をこうむり、知らず知らずのうちに危機的状況に陥っていくという。どんな社員が狙われやすいのか?どのような職場環境ではびこるのか?経営者や管理職は何をすればよいのか?自分の身を守るにはどうしたらよいのか?不当なリストラや組織ぐるみの不祥事があとをたたず、いたるところでモラルの低下が叫ばれている昨今、すべての働く人にとって必読の書である。