前著、『社会問題の変容──賃金労働の年代記』ほどではないが、けっこうボリュームがある。
ちょっと内容が冗長すぎるのではないかと思うが、ところどころなるほどと思わされるところがあり、やはり読んでおくにこしたことはない本なのだろう。
本書では、アンダークラスに支給される公的扶助として、社会参入最低所得手当(RMI=Revenu Minimum d'Insertion)が挙げられているが、現在では、これは、積極的連帯手当(RSA=revenu de solidarite active) なるものに変わっている。フランスの下層、「働く貧困層」が、公的扶助受給者に憎悪をつのらせているさまは、イギリス、そして日本でも同様であり、社会保障大国、フランスにおいてさえこのさまとは、ちょっと驚いた。
目次
第1部 労働の規制緩和
隷属と自由のあいだの労働―法の位置
労働にはいかなる中核的重要性があるのか
労働法―手直しか、つくり直しか ほか
第2部 保障の再編成
社会国家の名において
変転する社会国家のなかの社会事業
守られるとはどういうことか―社会保障の社会人間学的次元 ほか
第3部 社会喪失への道のり
社会喪失の物語―トリスタンとイズーについて
歴史のなかの周縁人
排除、罠の概念 ほか
この不安と閉塞感はどこからくるのか?雇用の劣化、社会保障の崩壊。歴史的大転換のなか荒れ狂う資本主義にさらされる持たざる者には社会的所有の再構築しかない。カステル社会学のエッセンス。
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