八島良子,2024,メメント・モモ──豚を育て、屠畜して、食べて、それから,幻戯書房.(1.29.25)
そこに理由を見出すのは、きっと人が生きやすくなるためでしかない。なぜこのようなことをするのか、命懸けで考えていきたい。コロナ禍の瀬戸内海・百島。愛豚と向き合った333日の記録。行政と折衝を重ね、どう屠ったか。
アーティストの八島さんは、子豚を貰い受け、約一年、200kgを超すまで育て上げて、屠殺し、肉を食らう。
人は、通常、ペットを食べることはできない。
「仲間は食べてはいけない」という禁忌は、「近親者とは性交してはいけない」というインセスト・タブーともども、普遍的なものであるが、八島さんは、あえて、この禁忌を犯す。
八島さんは、自らの月経痛についてたびたび言及している。
食べ、飲み、排泄するモモの世話をする八島さんも、食べ、飲み、排泄し、血を流す。
生きるということのむせ返るほどの生々しさが伝わってくる。
目次
1 パプアニューギニアから
2 百島で
3 自家用屠殺
4 それから