研究テーマとしては、とても重要でおもしろいと思うのだが、いかんせん、内容が本題からずれてしまい、延々とTVメディア論が展開されているだけで、うんざりした。
もとは国際基督教大学に提出された博士論文らしいが、指導、審査にあたった教員にもおおいに責任がある。
さて、「障害者を笑えるか?」という問いについてだが、なんでもかんでも、硬直的なPolitical Correctnessの基準に従って、表現を萎縮させるのはよろしくない。コンテクストにもよるが、「障害者を笑う」ことはあっても良い。
わたしが子どものころは「小人プロレス」がまだTVで放映されていた。脳性まひ者のプロレス興行は細々と続けられているようだが、TV放映やネット配信でもっと広く楽しんでもらったら良いと思うのに、それができないのは、PC的にアウトなんだろうという配慮がはたらいているからだろうが、もったいないことだと思う。
安直な反差別の考えが、自らを露出し、笑いの対象となることも含めて、障がい者の自由な表現を抑圧している。その結果、障がい者は、ますます不可視化し、健常者とのセグリゲーションは深まったままである。残念なことこのうえない。
「障害者を笑ってはいけない」「障害者が人を笑わすことはできない」など、障害者と笑いはもっとも結びつきにくいテーマである。しかし、この「常識」に根拠はあるのか。「笑い」という社会的営為を手がかりに、『バリバラ』などのバラエティ番組を取り上げて、「差別から自由」なコミュニケーションの可能性をさぐる。
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