学生時代、ミゲル・リッティンの映画『戒厳令下チリ潜入記』を見て、またガルシア=マルケスの同名ルポルタージュを読んで衝撃を受けたのが、わたしのニューリベラリズムとの出会いであった。その前後、サッチャリズム、レーガノミックス、そして中曽根政権による三公社民営化等々、これらによって激変する世界を生き、なぜこのような社会経済の大変動が進行したのかが、わたしの最大の社会学的関心となった。
本書は、どの本よりも明晰に、その変動要因と経緯について説明がなされている。必読本など滅多にお目にかかるものではないが、本書はまさにその一冊だ。
目次
序章 経済学のオフリミッツ
第1章 何のための市場形成か―チリのクーデターと経済政策
第3章 社会的責任か、成長か―市場原理の例外としての企業
間奏 経済学の分岐点で
第3章 誰もそれを止められない―市場原理の例外としての貨幣
第4章 給料だけでは不十分?―所有者社会の夢と年金
終章 危機の時代にたたずむ
「ショック療法」の主唱者ミルトン・フリードマン―彼の経済理論は「人類のために最大の貢献」をしたとされ、一九七六年にノーベル経済学賞という栄誉が与えられた。だがそれは、最高評価に値する真の「発明」だったのだろうか。政治とメディアとの三つ巴で強引に推進された新自由主義的政策と、その帰結たる半世紀後の絶望的なまでに荒廃した世界状況を思うとき、そもそも経済学的権威とは何かと疑問を抱かずにはいられない。経済学の深い闇に鋭い批判的考察のメスを入れ、経済学者の果たすべき社会的責任と使命を問う。
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