1975年に出版された本書が、今年1月に増刷され、少しばかり話題になった。
太平洋戦争で、徴兵された膨大な数の男性が戦死した。一方で、国内では、「戦争未亡人」や、「適齢期」の男性が急減したために未婚のまま人生をおくらざるをえなくなった女性が急増した。
彼女たちの多くが、単身で、あるいは扶養家族をかかえて就労し、あからさまな性差別にさらされながら、生き延びるべく必死に働いた。
本書を読めば、重労働、低賃金にくわえ、早期退職を余儀なくされ、困窮生活を強いられた女性たちの生活史が、過酷きわまりないものであったことがわかる。
2006年の雇用機会均等法改正により、女性のみが早期定年退職を強いられることはおもてむきなくなったが、いわゆるエセンシャルワーカー、キーワーカーの多くを占める就労女性たちが、低賃金の過酷な労働を強いられている現実は変わらない。
45年のときを経て、なお現存する女性の生活困窮問題の記録が、鮮やかによみがえる。
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