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本と音楽とねこと

<わたし>から始まる社会学

平井晶子・中島満大・中里英樹・森本一彦・落合恵美子編著,2023,<わたし>から始まる社会学──家族とジェンダーから歴史、そして世界へ,有斐閣.(10.29.23)

 落合恵美子さんの京都大学退官記念論文集。
 近代家族論と歴史人口学を中心に、落合さんの多彩な研究領域を反映し、落合社会学の薫陶を受けた著者たちの研究テーマもとても多彩だ。
 落合さんの、私的な問題意識を一般化、普遍化させる手腕が、見田宗介の「一点を突破し全面展開せよ」という助言の後押しを受けて初めて開花したことや、高橋徹や森岡清美とのエピソードなどが興味深い。

パーソナル イズ ポリティカル!自分の中の「なんで?」から始めて、その問いに潜む社会の特性を考える。個人的なことが社会的なことにつながる、その面白みを味わいながら、歴史や比較といった社会学の射程の広さ、アプローチの多様性を体感できる、ユニークな一冊。

目次
序 パーソナル・イズ・ポリティカル―“わたし”から始まる社会学のゆくえ
第1部 「近代家族」は変わったか
妻の脱主婦化の落とし穴と夫の働き方の問題―家内労働時間を含めた総労働時間の長期間の分析から
女性就業の地域的多様性―福井県におけるM字型カーブの推移
日本における「近代家族論」の展開と社会へのインパクト―新聞の子育て言説を中心に
育児と仕事の競合―中国における「専業ママ」の母親規範を問い直す
「タイガー」マザーと「不合格」母―アメリカ中華系の親子関係と中国の親子関係の比較
第2部 わたしたちはどこから来てどこへゆくのか
子どもはどちらについていくのか―徳川時代の子どもと離婚
伝統家族の複数性を読み解く―歴史人口学からの接近
日本的近代化と家の展開―先祖祭祀の変化を中心として
日本における「近代のエスノグラフィー」の誕生―権田保之助の民衆娯楽論の一考察
第3部 国境を越える家族/国境を越える研究
“外国人の子どもの声”が声になるまで―特別支援学校への進学を「決めた」のは誰か
国際結婚で「第1の近代」は揺らいだのか
2つのオリエンタリズム―現代フランスのイスラモフォビアと方法論的オリエンタリズム
非西洋文化圏における家族研究―東アジア、東ヨーロッパとトルコを事例に

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