かつての九州大学社会学研究室の、真摯な学問への取り組みと、活気にあふれた学問的営為のありように、たいへん印象深く感じ入った。
家族の多様性が指摘されるようになって久しいが、「末子相続の研究」は、明治期以降の家父長制の浸透にもかかわらず、地方に息づいてきた、多様な日本の家族のありようを明らかにした重要な業績であるように思う。
また、日本社会における資本主義の発展を論じる際、石門心学ともども、浄土真宗の影響を見逃すことはできないが、学部生時代にすでにその論点の重要性に気付かれていた内藤先生の慧眼はさすがだとあらためて感じ入った。小谷先生の、企業の社会貢献についての研究にも、内藤先生の問題意識が継承されていることが、よくわかった。
エミール・デュルケムやマルセル・モースの研究が、社会学の古典であるにとどまらず、個人主義の隘路、欲望肥大化が生む不幸、贈与と権力等、現代を生きる若者たちにも継承されるべき重要な知見を含むものであることも、あらためて思い起こした。
本書は、著者の小谷先生からご恵贈いただいたものです。ありがとうございました。
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