桜井亜美,1997,ガール,幻冬舎.(8.18.24)
幼い頃、炎天下の車中に取り残され意識不明に陥ったことがトラウマとなり、人を愛することができない女子高生〈ユーリ〉。傷つくことを恐れ、彼女はただ“もの”になることに憧れていた。テレクラ、援助交際、オヤジ狩り――。
現実に翻弄されながらも、少女は真実の愛を求める。『イノセント ワールド』の著者が放つ衝撃の第二弾!
『イノセント ワールド』で衝撃のデビューを果たし、1990年代後半期を疾走した桜井亜美。
ここのところ、旧作を再読したうえで処分しているが、本書も、当時の熱量を懐かしく思い起こさせてくれる作品だった。
ネグレクト(炎天下での車内放置)、性虐待、いじめ(暴行)等、本作の登場人物たちも深刻なトラウマをかかえている。
存在のキズにさらに塩を塗り込むかのような被虐と加虐。
近年の文学作品に欠けているのは、そのヒリヒリするような痛みの感覚だ。