古市憲寿,2014,だから日本はズレている,新潮社.(2.22.25)
勘違いを生み出す「幻想」の正体とは? リーダー待望論、働き方論争、炎上騒動、就活カースト、クールジャパン戦略……「迷走」し続けるこの国を29歳社会学者が冷静に分析。日本人が抱える「夢」の害悪を鋭く突く。
リーダーなんていらないし、絆じゃ一つになれないし、ネットで世界は変わらないし、若者に革命は起こせない。迷走を続けるこの国を二十九歳の社会学者が冷静に分析。日本人が追い続ける「見果てぬ夢」の正体に迫る。
わたしはTVも見ないしラジオも聴かないので、古市さんがマスメディアでどのようなことを言ってるのか、まるで知らない。
その発言は、ときどき「炎上」するようであるが、本書を読む限り、しごく妥当なことを言っている。
本書の批判と揶揄の対象は、たまたま時代状況に恵まれて既得権益を得られているだけであるにもかかわらず、それを自らの能力と努力の成果だと勘違いし、根拠なき「若者叩き」に興じている「おじさん」連中である。
「おじさん」的思考に染まっている、愚にもつかぬ言説を、根拠薄弱であると批判するだけでなく、「暑苦しい」と揶揄する、そのみずみずしい感性がすばらしい。
目次
「リーダー」なんていらない
「クール・ジャパン」を誰も知らない
「ポエム」じゃ国は変えられない
「テクノロジー」だけで未来は来ない
「ソーシャル」に期待しすぎるな
「就活カースト」からは逃れられない
「新社会人」の悪口を言うな
「ノマド」とはただの脱サラである
やっぱり「学歴」は大切だ
「若者」に社会は変えられない
闘わなくても「革命」は起こせる
このままでは「2040年の日本」はこうなる