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本と音楽とねこと

働き方は「自分」で決める

古市憲寿,2014,働き方は「自分」で決める,講談社.(2.23.25)

若き企業家たちの生態系に飛び込んで、絶望の国の幸福な若者たちの「働く」意味を考える。29歳、気鋭の社会学者、渾身の労働論!単行本『僕たちの前途』改題・大幅改稿! 
著者待望の初文庫!
・“働く”ことに殺されてはならない。
・組織に入らず、起業もしない就職だってある。
・他人を使わず、使われないで生きる。
下流でもなく、ホリエモンでもなく。草食でもなく、肉食でもなく。僕たちがつい当たり前だと思ってしまう「会社に雇われて働く」という生き方は、時代に限定されたものに過ぎない。いま最も支持を集める29歳の気鋭の社会学者が若き起業家たちの生態系に飛び込んで、若者たちの働く意味を考える。文庫版オリジナル特典として、人気ロックバンドSEKAI NO OWARIとの対談を収録!(電子版には特典は収録されていません)

 理想の働き方、それは、余暇をじゅうぶんに楽しめる時間的余裕と、生活するに足る報酬が安定して期待され、かつ、労働の成果がなにがしかの人々のニーズの充足ないし社会に貢献するものであり、労働の内実が、労働者と、顧客あるいは消費者にとって、心身に害悪をもたらすものではないこと、以上の条件を充たすものであろう。

 そのような労働に必要な知識と技能の水準、それは、かならずしも学校教育でのペーパーテストの成績にきっちり相関するものではないが、まったく無関連であるわけでもない。

 古市さんが指摘するとおり、仕事の能力には、必要な情報を取捨選択して摂取、記憶し、分類、整理し、適切にアウトプットするそれが主要なものとして含まれるが、そのような能力は、ペーパーテストの成績でかなりの程度、測定できる。
 また、仕事には、単純反復作業を長期的に持続する忍耐力も必要であるが、それもまた、無味乾燥な試験勉強をこなしていけるそれとして測ることのできるものであろう。

 と、考えると、「学(校)歴じゃないよ、実力だよ」という言葉は、「努力しなかった者」が自らの怠惰、安直さを反省することなしに、絶望的な現実に開き直る口実を与える、無責任なものでしかない。

 能力と経験に乏しい者が、起業でひと山当てようなどというのは、ほとんど不可能なことでしかない。

 「いい学校、いい会社」に入るのが幸福の十分条件ではないことは言うまでもないが、グッドジョブ、グッドライフを望む者が、わざわざFラン大や将来性のまったくない企業に入ることもない。

 高校生であれば、労働とそれをめぐる環境条件について、本書から多くのことを学べるだろう。

はじめに
第一章 僕たちのゼント
 1 起業家の社会学
 2 ある若手起業家の物語
 3 僕たちのための起業
第二章 東京ガールズコレクションの正体
 1 走り続けるプロデューサー
 2 現代社会の祝祭
 3 毎日がカーニヴァル
第三章 俳優はなぜ映画を撮ったのか
 1 旅に出た俳優
 2 「芸能」界の隘路
 3 二つの「閉塞感」の、その先へ
第四章 つながる起業家たち
 1 つながりの力
 2 いつの間にか仲間は増えている
 3 僕たちに車は作れない
第五章 あきらめきれない若者たち
 1 あきらめきれない不幸
 2 みんな学歴の話が大好き
 3 希望の起業家たち
第六章 僕たちの前途
 1 新しい中世の戦士たち
 2 失われていく国の中で
 3 僕たちはどうやって働こう?
 4 結論の代わりに言えること


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