軟派なテーマに大まじめに取り組むのは、けっこう難しい。
あまりに陳腐かつ大仰すぎる叙述がどうも気になったものの、そうした難易度の高い課題に挑戦し、じゅうぶん読むにたえる作品にして提示してみせた力量と努力をかいたい。
身近な素材をとおして社会学の認識枠組みを理解するにはいい本だと思う。いっぷう変わった社会学の入門書としておすすめしたい。
目次
第1章 出逢いはもはや突然ではない―合コンの社会学・序
第2章 運命を演出するために―相互行為儀礼としての合コン
第3章 運命の出逢いは訪れない―合コンの矛盾
第4章 運命の相手を射止めるために―女の戦術、男の戦略
第5章 運命の出逢いを弄ぶ―自己目的化する遊び
第6章 それでも運命は訪れる―合コン時代の恋愛と結婚
第7章 偶然でなくても、突然でなくても―合コンの社会学・結び
補論 合コン世代の仕事と恋愛―自由と安定のはざまで
「合コンは、誰もが参加できる平等な競争の場である」―広く共有されたこの前提は、実は幻想にすぎない。男女は、まったくランダムに、真空状態のなかで出逢うのではない。そこには社会の階層性が色濃く反映され、職業や年齢や容姿を軸にした序列がはっきりある。私たちは、合コンを通して恋愛すべき相手と恋愛し、結婚すべき相手と結婚することで、社会構造の維持に貢献することになる。合コンは、現代の私たちが出逢うために創りだした、そして今や私たちを取りこもうとする、まごうことなき「制度」である。
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