脱アイデンティティ論の虚妄、反貧困運動とナショナリズムの親和性など、興味深い論点がちりばめられている対談本。
それにしても、萱野さんの議論の誘導、まとめ方は秀逸だ。自慢話と独話しかできない首都大学東京のすっとこどっこいとはえらいちがいだ。
目次
第1章 「生きづらさ」はどこからくるのか?
「生きづらさ」と現代
空気を読んで自殺する ほか
第2章 貧困とアイデンティティ
いろんな意味で状況が変わってきた
盛り上がるフリーターや反貧困の運動 ほか
第3章 認められることの困難とナショナリズム
「希望は戦争」論争
格差とルサンチマン ほか
第4章 「超不安定」時代を生き抜く
二〇〇八年インディーズ系メーデー
ニートや引きこもりは労働問題 ほか
いま多くの人が「生きづらさ」を感じている。一九九八年以降、自殺者数は毎年三万人を超え、毎日のように練炭自殺や硫化水素自殺のニュースが報じられている。鬱病など、心を病む人も増える一方だ。これらの現象は、現代社会に特有の「生きづらさ」と無縁ではない。その背景には、もちろん経済のグローバル化に伴う労働市場の流動化が生んだ、使い捨て労働や貧困、格差の問題もあるだろう。他方で、そういう経済的な問題とは直接関係のない「純粋な生きづらさ」もあるだろう。本書では、さまざまな「生きづらさ」の要因を解きほぐしながら、それを生き延びていくためのヒントを探っていく。
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