共同体を、人間の自由を抑圧する、悪しき前近代の異物として否定するのではなく、袋小路に陥るヨーロッパ起源の個人主義から脱却し、対人、対自然、対時間の関係本位の価値観とライフスタイルを創造することを提唱する。ローカリズムの視座を思想史のなかに的確に位置づけた説得力ある論考だ。マッキーバーのコミュニティ論への斬新な批判には、目から鱗が落ちる思いがした。元が講義録であるだけに読みやすい。
目次
第1講 コミュニティをどうとらえるか
第2講 日本と欧米の社会観を比べてみると
第3講 日本人にとって個とは何か
第4講 共同体は単一ではなく多層的なものである
第5講 日本の近代化は共同体をいかにしてこわしてきたか
第6講 国民国家・市民社会・市場経済への反撃がはじまった
第7講 風土論でローカルな世界をとらえる
第8講 人間にとって主体とは何か
第9講 「個としての主体」という牢獄
第10講 復興のグランドデザインと価値の共有―3・11後の社会をデザインする
地域とは何か、コミュニティ、共同体とは何か、これからの社会のかたちをどこに求めるべきなのか、そしてその背景にはどんな哲学、思想をつくりだす必要があるのか。それは震災後の復興を考えていく作業でもあり、同時に、いきづまった現代社会をいかに変えていったらよいのかについての考察でもあった(「はしがき」より)。
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