一時期問題になったように、心理カウンセラーは、ありもしない親から虐待された経験を、クライアントのこころのなかに捏造することがある。
というわけで、若干の警戒心をもちながら本書を読んだわけだが、本書で紹介されているカウンセリングの内容は、記憶を捏造するようなたちの悪いものではなく、クライアントの心情に寄り添った誠実なものであるように感じた。
本書では、とくに母−娘関係の病理に絞って問題事例が紹介されているが、アメリカ社会にも、虐待やネグレクトだけではなく、母親から娘への過干渉により病んでいく女性の問題があることがわかった。いわゆる「毒親」問題はどうやら普遍的にみられるようだ。子をもつ女性が自分自身の人生を生きることなく娘に自分の人生を代わりに生きさせようとする、そうした毒親の呪縛から逃れ、毒親から決別して生きていくことができるようになっていくカウンセリングの過程は、できすぎたストーリであるようにさえ感じるが、それで救われ人生を生き直せる女性が増えていくのであれば、この手のカウンセリングに大いに賛同したい。
目次
第1部 母親から受けた傷を確認する
母親の愛情を疑問視することのタブー「母親を悪く言うことは決して許されない」
きわめて自己愛の強い母親「だけど、わたしはどうなるの?」
過剰に関わってくる母親「あなたはわたしの人生よ」
コントロールばかりする母親「だってわたしがそう言ったから」
世話を必要とする母親「あなたが何もかもやってくれるでしょ、頼りにしているわ」
ネグレクト、裏切り、虐待をする母親「あんたはいつもやっかいごとを引き起こす」
第2部 母親に与えられた傷を癒す
真実の始まり「すべてわたしのせいではないということがわかりはじめる」
つらい感情を認識する「すべてを吐きだすのはとても気分がいい」
怒りと悲嘆から英知は生まれる「わたしは長いあいだ抑えこんできた感情と向き合う準備ができている」
行動を変え、人生を変える「変わることはとてもむずかしいが、変わらないことはもっと大変だ」
境界をもうける「ノーという権利があるとはこれまで思ってもみなかった」
今どういう関係を望んでいるかをはっきりさせる「やっと大人の女性になれた気がする」
もっともむずかしい決断「わたしの母か、わたしの幸福か、という選択になる」
老い、病気、孤独。急に頼ってくる母親「母を助けてあげなくてはならない。だって彼女はまだわたしの母親だから」
ついに、いい母親と絆を作る
「毒親」の名付け親、Dr.スーザンが贈る、母娘問題最終解決メソッド。毒親さん、さようなら。人生を切り拓く勇気をもつ!
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