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本と音楽とねこと

子供の死を祈る親たち

押川剛,2017,『子供の死を祈る親たち』新潮社.(1.16.2019)

 前著、『「子供を殺してください」という親たち』の内容も凄まじかったが、本書で紹介されている事例もその一つ一つがこれまた強烈だ。
 「精神障害者移送サービス」は、わが子に殺されかかっている者も含めて、せっぱつまってどうしようもなくなった親たちが、自傷他害のおそれがある「精神障がい」(と思われる)の子どもを、警察官、保健センター職員等の立会いのもと、障がい当事者を説得したうえでの、精神科病院への緊急入院を託すものである。
 たまたまそうなのかどうかは不明であるが、ひきこもって親から搾取しさらには暴力までふるう子どもの親たちも、子育てのあり方や子どもとの接し方がどこか「おかしい」。おそらく、遺伝的形質も含めて、だれにでも「狂う」因子はあるが、「病気」が発現する引き金をひくのは、「異常」な家族関係、とくに親子関係にあるのだろう。
 筆者が運営するような民間サービスがなければ、「精神障がい」をこじらせた者による自傷他害の事件がより多発することはまちがいない。行政は、手厚い補助金を支給するなどして、このような民間サービスを全面的に支援すべきである。

目次
第1章 ドキュメント
第2章 事件化する家族
第3章 なぜ家族は壊れるのか
第4章 これからの家族
第5章 患者の二極化がはじまった
第6章 現場からの提言

親子間の溝はますます深くなっている。自室に籠もり、自殺すると脅して親を操るようになった息子。中学時代、母親の不用意な一言から人生を狂わせ、やがて覚醒剤から抜け出せなくなった娘。刃物を振り回し、毎月30万も浪費するひきこもりを作ったのは、親の強烈な学歴信仰だった…。数々の実例からどのような子育てが子供の心を潰すのかを徹底的に探る。現代日本の抱える病巣を抉る一冊。

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