上野千鶴子,2018,情報生産者になる,筑摩書房.(7.16.24)
すべての学びたい人たちへ。問いの立て方からアウトプットまで、新たな知を生産し発信するための方法を詰め込んだ一冊。問いの立て方、データ収集、分析、アウトプットまで、新たな知を生産し発信するための方法を全部詰め込んだ一冊。学生はもちろん、すべての学びたい人たちへ。
情報があふれかえる時代、しかし、それを消費するだけではタダの情報グルメや情報ディレッタント。価値のある情報を生産し、発信する側にまわる方がずっとおもしろい。オリジナルな問いを立て、過去の研究に学び、一次データを収集し、それに分析を加え、アウトプットするまでの一連の過程を、具体例を交えながら解説。あまたの人材を育ててきた教育者として、新たな知を生み出す技法を惜しみなく公開する。この一冊で、あなたも情報生産者になれる!
上野さんは、サービス精神が旺盛な方だ。
本書は、長年の教育、研究の経験をフルに生かして、「ひとが答えのない問いに立ち向かうための、だれにでもわかり、どこでも通用するノウハウ」(p.375)を、惜しみなく開陳したものだ。
社会(科)学方法論、研究のテーマ設定、調査のデザイン、研究計画、論文の作成方法、調査倫理、KJ法を中心にした一次情報収集とメタ情報抽出の方法、研究発表のやり方、果ては司会進行のあり方に至るまで、上野センセ、持てる経験知をすべてさらけ出す。
これは、「面接調査の心得」であるが、ここまで詳細に目配りを効かせたマニュアルは、あまたある社会調査法のどのテキストにもない。
(pp.184-185)
本書は、カネを払って読む書籍と言うより、上野センセが次世代に残さんとするギフト、贈与ではないか、そんな気さえする。
まさか、方法論のテキストに感動することがあろうとは、思いもしなかった。
研究は楽しい。
オリジナルな研究成果をアウトプットするのはもっと、このうえなく楽しい。
そのためのガイドブックとして、大学院生のみならず、大学学部生にもお薦めしたい。
目次
1 情報生産の前に
2 海図となる計画をつくる
3 理論も方法も使い方次第
4 情報を収集し分析する
5 アウトプットする
6 読者に届ける