タイトルから容易に想像できるとおり、ごく少数の事例からの牽強付会が本書の難点だが、それでも性的弱者のルサンチマンが、例えば、人材不足ゆえ誰でも就労の機会が得られる介護の現場での壮絶なパワハラやら、ネトウヨの聞くに堪えられないヘイトスピーチやらとして表出されていることは、看過できない問題だろう。見合い婚の機会が失われた、自由恋愛市場での競争は過酷だ。性的弱者に敗者復活の機会は乏しい。たかが性愛の問題でしかないという先入観が崩された思いだ。
目次
第1章 秋葉原は中年童貞天国
第2章 妄想に生きる高学歴中年童貞
第3章 ネット右翼と中年童貞
第4章 女への絶望から男で童貞喪失
第5章 童貞喪失を目指す学校
第6章 中年童貞の受け皿となる介護業界
第7章 中年童貞はこの社会が生んだ
性交渉未経験の男性が増えている。30歳以上未婚男性の4人に1人が童貞。この割合はここ20年間上昇を続けている。オタクが集うシェアハウスで理想の女の子の絵を描き続ける32歳、容姿への自信のなさから同性愛を選択した36歳、AV男優に採用されたが女優に嫌がられセックスできないまま自殺した33歳――。彼らに共通するのは、過剰なプライドの高さ、コミュニケーション不全、潔癖な女性観だ。童貞というコンプレックスは彼らの社会的な自立をも阻害する。性にまつわる取材を続ける著者がえぐる日本社会の不健全さ。衝撃のルポルタージュ。
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