サン・テグジュペリ(田中稔也訳・挿絵),2024,人間の土,明月堂書店.(1.18.25)
「精神の息吹が粘土に吹き渡ってこそ、人間は創りだされるであろう」サン=テグジュペリが『人間の土』を通じてしみじみと訴えたヒューマニティは、今を生きる若者たちの心に果たして届くだろうか。ぜひ届いて欲しい。繰り返される戦争と虐殺の時代に新たな連帯を模索し新世代に贈る祈りの書。
まだ飛行機が危険極まりない存在であった時代、サン・テグジュペリは、定期郵便機のパイロットとして、数多くの生死の危険に身を晒した。
墜落死した友を悼み、サハラ砂漠に不時着し死に直面した自らの経験を回想する。
生命を蕩尽する戦争を憎む一方で、たんなる土くれに終わらぬべく、生死を賭けた飛行に、生命の炎を燃焼させる。
話し言葉に近い、思い切った訳文が見事だ。
目次
第1章 定期航路
第2章 僚友たち
第3章 飛行機
第4章 飛行機と惑星
第5章 オアシス
第6章 砂漠にて
第7章 砂漠のど真ん中で
第8章 人間たち