生活困窮を経験した当事者の生活史、有利子返済奨学金問題から社会保障後退の社会史まで,種々雑多な論考が収められている。
わたしとしては、第4章「世代論を編み直すために―社会・承認・自由」(仁平典宏)がいちばん読み応えがあった。連帯や富の再配分が否定されているという点ではもはや「社会」は存在しないが、一方で、貧困の再生産、長期景気停滞、規制緩和等による労働条件の劣悪化等を考慮することなく、個人の自己努力にのみ貧困からの自立の方途を限定し、貧困の原因を徹底して「自己責任」に帰すという点では「社会」(の圧力)は存在する。この矛盾に気づき、抵抗していかなければ、社会保障の無限後退を食い止めることはできないだろう。
目次
序章 「若者と貧困」を語ること
第1章 ライフストーリー―絶望と希望
第2章 加速する生活と生存の危機
第3章 若者の貧困と社会―場と議論の交差する地点
第4章 世代論を編み直すために―社会・承認・自由
終章 いま、ここからの希望を―参加とつながりが人生と社会を変える
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