松井やより,1992,魂にふれるアジア,朝日新聞社.(2.12.25)
アジア諸国における貧困、性搾取、児童労働、戦争犯罪、人権弾圧、環境破壊等の問題を告発し続けた松井さんの功績は計り知れない。
松井さんが活躍していた1970-80年代には、日本も含めた先進国企業による、グローバルサウスの人々の搾取に対し、直接行動で対抗する運動があった。
「東アジア反日武装戦線」もその運動体の一つで、1974年、三菱重工爆破事件を引き起こす。
本書でも、アジア諸国の人々を搾取し、環境を破壊して、人権抑圧に加担する企業として、三菱グループのそれが挙げられている。
三菱グループの企業だけが、搾取、抑圧、破壊の加害者であったわけではない。
しかし、「三菱的なるもの」への嫌悪と忌避は、ずっとつきまとってきた。
反吐が出る。
「三菱重工」のたかが一社員が、搾取、抑圧、破壊の加害者として、テロの標的になるのは、あまりに理不尽だという思う一方で、「金儲けのためにそんなひどいことをしている企業に就職することないじゃん」という思いもあって、そうした心情は、青年時代から今日に至るまで、変わっていない。