本と音楽とねこと

ウェーバー本2冊

 マックス・ウェーバーが、スペイン風邪により錯乱状態に陥り亡くなって100年の節目に、ドイツで編まれた『マックス・ウェーバー全集(MWG)』の内容をふまえた良作2冊が刊行された。
 今野さんの作品は、ロシア人やポーランド人への嫌悪をあらわにする好戦的ナショナリスト、等身大の人間ウェーバーの実像を、史実に即して明らかにしている。
 一方、野口さんは、ウェーバーの思想を、わたしたちが生きる現代に生かすべく、できる限りの知恵をくみとろうとする。
 カール・シュミットを介して、ウェーバーの思想が、ナチス・ドイツの全体主義、優性思想による大虐殺を引き起こす源泉の一つになったのか、これは、いまでも開かれたままの問いであるが、二律背反的な価値に揺れ動いたウェーバーの思想は、そうであるがゆえに魅力的であり続けている。
 読みやすいウェーバー入門書としては、野口さんの著作をおすすめしたい。

今野元,2020,マックス・ヴェーバー──主体的人間の悲喜劇,岩波書店.(7.4.2021)

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』をはじめ、今も読み継がれる名著を数多く残した知の巨人マックス・ヴェーバー(一八六四‐一九二〇)。その作品たちはどのようにして生み出されてきたのか。百花繚乱たるヴェーバー研究に新たな地平を拓く「伝記論的転回」をふまえた、決定版となる評伝がここに誕生。

野口雅弘,2020,マックス・ウェーバー,中央公論新社.(7.4.2021)

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『仕事としての政治』などで知られるマックス・ウェーバー(一八六四~一九二〇)。合理性や官僚制というキーワードを元に、資本主義の発展や近代社会の特質を明らかにした。彼は政治学、経済学、社会学にとどまらず活躍し、幅広い学問分野に多大な影響を及ぼした。本書は、56年の生涯を辿りつつ、その思想を解説する。日本の知識人に与えたインパクトについても論じた入門書。

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