1970年代から2000年代までの、「住民参加型在宅福祉サービス団体」の軌跡をたどる。
上記団体については、以前、調べたことがあるので、興味深く読めたが、高齢者の在宅福祉に取り組む自発的活動(Voluntary Activity)は、社会運動とはいえないのではないか。もちろん、介護保険制度の改悪に反対し、情宣やロビイングを行った介護系NPOはあっただろう。しかし、そうした例外を除けば、政治的争点をもたない、草の根のボランタリーな地縁団体活動は、社会運動ではない。
本書のもとは、日本女子大学の博士論文であるようだが、わたしが担当教員であれば、社会運動論を援用することには賛成しても、既存の運動論フレームにそうした活動をがっつり組み込むことには反対しただろう。「結い」を含めた相互扶助の議論やアソシエーション論を参照することは必要だが、なぜ、これが社会運動論につながるのか、理解できない。
日中の孤独や強制された施設収容などの「老人問題」に対して地域住民で「たたかう」ために生まれた「助け合い活動」の1970年代から現在までを追い、地域のグループ、有償ボランティア、NPOと移り変わった担い手の変容、苦悩や課題を描き出す。自助(自己責任)の強化に抗い、政策とは別の互助の可能性を展望する。
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